日本紅斑熱はグラム陰性細胞内寄生細菌であるRickettsia japonica(R. japonica)を起因菌とする疾病である。この疾病はダニ刺咬によって起こる。我々は実験動物(C3H/HeNおよびBALB/c)にR. japonicaを接種し、その病態を解析した。1E6 PFUのR.japonicaの接種で28日間マウスの観察を行ったところ、全てのマウスは生存したが、C3H/HeNマウスにおいてBALB/cマウスよりも有意な体重減少が見られた(感染後1~15日目)。そこで、C3H/HeNマウスに注目し、さらに解析を行った。このマウスの血清からR. japonica特異的血清が検出された。また、安楽死処置、解剖を経て組織切片を作成し、HE染色およびR. japonica特異的血清で免疫染色を行ったところ、肝臓で炎症が観察され、また脳、肺、肝臓、脾臓などで R.japonicaが検出された。この結果を受けて、今度は1E6 PFUのR.japonicaをC3H/HeNマウスに接種し、感染後1~9日目でそれぞれ血液、脳、肺、肝臓、脾臓を採取し、DNAを抽出、R. japonicaのコピー数をQuantitative PCR(qPCR)にて測定したところ、感染後1~8日目で R. japonicaDNAが検出された。これらの結果から、C3H/HeNマウスは日本紅斑熱のモデル動物として有用であることが示された。
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