平成30年は、ベースラインの調査(機能健診)以降に60か月間(5年間)の追跡が可能であった5628名のデータベースを基に解析をした。機能健診以降の60か月間で要支援・要介護の認定を受けた後に死亡に至った者のうち、生存中に介護サービスの利用(介護給付費の発生)のあった115名(女性39.1%)で分析を行った。初回の介護サービス利用年齢は80.4±6.5歳であり、死亡年齢は81.4±6.7歳であった。生存中の介護サービス利用額と初回の介護サービス利用年齢との間には有意な相関関係は認められず(r=-0.07,P=0.443)、死亡年齢との相関関係も認められなかった(r=0.03,P=0.743)。一方、初回の介護サービス利用後に亡くなるまでの日数は、生存中の介護サービス利用額と有意な正の相関関係を認め(r=0.77,p<0.01)、生存中の介護サービスの利用期間が長いほど、介護給付費は増大することが確認された。 初回の介護サービス利用以降に1年以上の生存があった45名で分析すると、生存中の介護サービス利用額と初回の介護サービス利用年齢との間には有意な負の相関関係が認められた(r=-0.34,P=0.02)。一方、初回の介護サービス利用以降の1年以内に死亡した70名においては、生存中の介護サービス利用額と初回の介護サービス利用年齢との間に有意な相関関係は認められなかった(r=0.06,P=0.65)。介護サービスが必要となってから亡くなるまでの期間が長くなるほど、介護給付費は増大する傾向となるが、介護サービスが必要となってから1年以上の生存がある者においては、介護サービスが必要となる年齢を高齢まで延伸することで、生涯の介護給付費を抑制することにつながる可能性が示唆された。
|