研究課題/領域番号 |
17K19871
|
研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
大谷 良 (大谷良) 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 糖尿病研究部, 研究員 (80574657)
|
研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
|
キーワード | 認知症 / 軽度認知障害 / HDL亜分画 / NLR |
研究実績の概要 |
アルツハイマー病(AD)の発症には、アミロイドβ (Aβ) タンパクの脳への蓄積が一因と考えており、発症の20年前から蓄積が始まるとされる。Aβタンパクの排除する仕組みとして脳血管の動脈拍動やアポリポ蛋白に注目が集まっている。そこで、ADや軽度認知障害(MCI)におけるアポリポ蛋白の意義について検討することを本研究の目的とした。AD、MCI、コントロール(cont)を神経症候学(診断基準)、画像(Brain SPECT、Brain MRI)で正確に分類し、The Study of Outcome and aPolipoproteins in Dementia (STOP-Dementia) registryにエントリーいただいた。結果を簡潔に記載すると、MCIにおいて、Small-sized HDL particle levelsが、contに比し有意に高値を示したが、serum HDL-cholesterol levelsは、AD、MCI、contで有意差はなかった。MCIにおいて、NLRはcontに比し有意に高値を示した。ADとcontにおいて、HDL subclasses、NLRとも有意差はなかった。つまり、この結果から、HDL subclassesが、MCIレベルという認知機能低下の初期の段階に関係する可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年4月、32th International Conference of Alzheimer’s Disease International (ADI 2017)では、その時点でSTOP-Dementia registryにエントリーいただいた、AD:37例、MCI:25例、cont:75例で、今回の研究の分析を行う事ができた。2017年11月、Neuroscience 2017(SfN 2017)では、STOP-Dementia registryでage-matchedした、AD 20例、MCI 17例、cont 17例で、研究分析結果を報告する事ができた。現在、Journal of Alzheimer Diseaseにoriginal articleとして論文を投稿中である。
|
今後の研究の推進方策 |
京都医療センターのある京都市伏見区を中心に、京都市南部の各区、宇治市、城陽市、向日市で病診連携を強化し、MCI、AD(初期)の患者様をご紹介いただき、STOP-Dementia registryに参加いただくように働きかけています。認知症診断に必要な、高次脳機能検査、神経放射線学的検査(Brain MRIなど)、神経核医学(Brain SPECT, 統計解析にはe-ZISを使用)は充実しており、診断、外来フォローには問題はありません。今後、ここの症例の縦断的経時的変化を追跡する予定だが、特にMCIからADに移行した症例に特に着目し、これまでの分析を実施する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
1年目に行う予定であった、新規の血液マーカーの探索として、small-sized HDLが予定よりも早く見つかったため、一度探索を中断し、学会発表や論文発表として結果をまとめた。一方で、small-sized HDLのみでは、ADやMCIを100%早期に発見することは困難である。したがって、2年目は、引き続き、small-sized HDLと協調できる血液マーカーの探索を行う。
|