研究課題
目的:地域住民を対象とした頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT)が循環器病(CVD)発症予測との関係について海外で報告されているが、日本人での報告が殆どない。そこで、日本の都市部地域住民対象に頸動脈IMTとCVD発症との関係を検討し、CVD予防の為の頸動脈指標を示し、CVD予防に寄与することを目的とする。方法:吹田研究対象者のうち頸動脈エコー検査を実施し、CVD既往のない4,724名(平均年齢59.7歳)を平均12.7年追跡した。平均IMT値は頸動脈分岐開始部より10 mm心臓側の両側の遠近位IMT値の平均を用い、総頚動脈及び頸動脈全体の測定可能部位の最大IMT値を夫々CMax-IMT、Max-IMTとした。IMT値四分位別によるCVDとの関係は多変量調整Cox比例ハザードモデルを用いて解析した。吹田スコアにIMTを加えたC統計値の差の検定及びReclassificationを解析した。結果:追跡期間中、脳卒中221名、CHD 154名の発症が観察された。第1四分位を基準に、第4四分位でのCVD発症調整ハザード比(95%CI)は、平均IMT (>0.95mm)で1.9 (1.2-3.1)、CMax-IMT (>1.1mm)で2.4 (1.4-4.1)、Max-IMT (>1.7 mm)で2.2 (1.4-3.5)であった。吹田とFraminghamリスクスコアにIMTを投入するとCVD発症予測能のC統計値は両者有意に上回り、脳卒中、CHD発症予測は吹田リスクスコアでCMax-IMT、Max-IMTが有意に上回った。吹田リスクスコアにおけるReclassificationはCMax-IMTで5.9(p=0.01)、Max-IMTで4.5(p=0.04)であった。結語:CMax-IMTはCVD及び脳卒中、CHD発症の予測因子であり、吹田スコアの予測能を僅かに向上できた。
2: おおむね順調に進展している
頸動脈エコー検査と循環器病発症に関する研究が論文採択いただき初年度の目標を達することができた。
頸動脈プラーク進展リスク要因を挙げていき、論文化する。それら因子を集めて、頸動脈プラーク進展に対するリスクスコアを作成する。
論文掲載費が年度またがってしまった(約20万円)血液検査代として、2018年度一括して測定するため。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 図書 (3件)
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