研究実績の概要 |
本研究では頸動脈プラーク進展が、その後の心血管病の危険因子であることを初めて示したが、頸動脈プラーク進展リスク因子に関しての追跡研究はこれまでない。そこで、吹田研究研究対象者4,724人(平均年齢59.7歳±11.0歳)に頸動脈超音波検査を両側全体に施行した。頸動脈プラークは総頚動脈最大内膜中膜複合体厚>1.1mmと定義し、追跡期間中初めてプラークを認めた時点で打ち切りとした。追跡可能な3,511人を2年毎に頸動脈超音波検査を2016年3月まで実施した。多変量調節Cox比例ハザードモデルを用いて頸動脈プラーク罹病リスク因子を解析した。 38,454人年の追跡期間中に1,771人の頚動脈プラーク進展がみられた。 頸動脈プラーク進展調整ハザード比(95%信頼区間)は、総コレステロール(TC)<160mg/dLを基準に160-239、240-279、>280mg/dLで夫々1.28 (1.02-1.60)、1.54 (1.19-1.98)、2.06 (1.39-3.07)、HDLコレステロール(HDLC) 35-49mg/dLを基準に<35、>60mg/dLで夫々1.58 (1.15-2.16)、0.84 (0.73-0.95)、収縮期血圧(SBP) <120mmHgを基準に120-139、140-159、>160mmHgで夫々1.14 (1.01-1.29)、1.30 (1.07-1.58)、1.53 (1.13-2.08)、正常血糖を基準に糖尿病型は1.44 (1.13-1.85)、正常体重を基準に過体重以上は1.30 (1.15-1.47)、喫煙しないを基準に現在喫煙は1.26 (1.09-1.45)であった。 地域住民対象による頸動脈プラーク進展リスク因子が、TC、SBPで正相関、HDLCで逆相関、糖尿病型、過体重以上、喫煙であることが初めて分かった。
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