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2018 年度 実施状況報告書

炎症誘導性の細胞死に着目した、慢性炎症性疾患の病態の解明と治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K19877
研究機関北海道大学

研究代表者

浅野 真未  北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (00779390)

研究分担者 小澤 岳昌  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (40302806)
尾崎 倫孝  北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (80256510)
研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2020-03-31
キーワード細胞死 / 炎症 / パイロトーシス / カスパーゼ / ガスダーミンD / 光プローブ / インターロイキン1β
研究実績の概要

近年、アポトーシス以外の細胞死の存在に注目が集まっており、これらが周囲の細胞に様々なシグナルを発信して、炎症、免疫応答、線維化、修復、再生といった細胞死後の生体応答をコントロールしている可能性が明らかになってきている。パイロトーシスはカスパーゼ1依存性であり、ネクローシス様に細胞が破裂する細胞死である。細胞死直後にインターロイキン1βやインターロイキン18といった炎症性サイトカインを放出するため、炎症誘導性の細胞死といわれている。本研究は、周囲組織に炎症を惹起する壊死性細胞死として、主にパイロトーシスに着目し、これが炎症の持続と促進に関与していると考え、研究をおこなっている。まずはパイロトーシスの生体内での動的解析を目的として、光プローブの作成をおこなった。パイロトーシスはプロテアーゼであるカスパーゼ1により切断され、活性化したガスダーミンDが、細胞膜を破壊することにより細胞死を実行する。そこで、カスパーゼ1の活性化を検出するために、不活性化した環状のルシフェラーゼの間にカスパーゼ1の特異的基質配列を挟み込んだ光プローブを作製した。この光プローブのカスパーゼ1特異的基質部位が切断されるとルシフェラーゼが活性化フォームにもどり活性化する仕組みを利用して、生体内でのカスパーゼ1の活性化を動的かつ経時的に解析できる検出系の確立を現在目指している。さらに、カスパーゼ1の活性化により誘引される生体内での分子生物学的変化をウェスタンブロット法やPCR法などを用いて解析した。具体的には、肝細胞株を用いて、CRSPR法や脂肪酸投与によるカスパーゼ1の活性化をおこなっているところである。また、ガスダーミンDの活性化およびインターロイキン1β放出を誘引する因子について探索中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

カスパーゼ1活性化の検出を目的に、不活性化した環状のルシフェラーゼの間にカスパーゼ1の特異的基質配列を挟み込んだ光プローブのデザインと作製は完了した。現在、マウス肝細胞、マクロファージ(肝Kupffer細胞を想定して)への導入を試みている(リポフェクション、エレクトロポレーション法など)が、十分なS/N比が得られていないため、プローブのデザインなどの改善を試みている。同時に、カスパーゼ11がパイロトーシスに関与している可能性が出てきたため、この光プローブのデザインと作製中である。

今後の研究の推進方策

肝細胞株に光プローブを導入し、生体内でのカスパーゼ1またはカスパーゼ11の活性化を動的かつ経時的に解析できる検出系を確立する。その後、NASHなどの肝炎症性疾患において予想される肝細胞病態の解析を、光プローブを用いておこなう。マウスの肝臓実質細胞に光プローブを導入し、これをパルミチン酸やリポポリサッカライドなどで刺激することにより、脂肪蓄積、炎症を誘導し、パイロトーシスの発生の有無を同一細胞で動的かつ経時的に観察する。これにより、パイロトーシスが関与している可能性がある病態を推定する。また、パイロトーシスと他の制御された細胞死(ネクロプトーシス、アポトーシスなど)との比較検討を行い、これらの細胞死の各種病態における役割を解析する。つぎに、得られた結果をもとに、その関与がもっとも考えられる病態をもつマウス疾患モデル(NASHモデル、各種肝炎モデルなど)を作製する。

次年度使用額が生じた理由

次年度は新たなターゲットの光プローブの作製や、細胞導入法の再検討により、光プローブの完成を目指す。肝細胞株を用いたカスパーゼ1およびガスダーミンDの活性化や誘導因子の同定については目途がついたため、次年度は活性化により誘引される生体内での分子生物学的変化の解析をウエスタンブロット法やPCR法を用いて進める。

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公開日: 2019-12-27  

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