前帯状回は情動的な側面、中でも不安に関わる。我々は、前帯状回のシナプス前長期増強(pre-LTP)が不安様行動のシナプス可塑性であることに着目し、この神経機構を調べた。pre-LTPは、タンパク質の分解に関わるユビキチンプロテアソームシステム(UPS)の阻害薬で抑制され、ユビキチンリガーゼE3のSCRAPPERの遺伝子改変マウスはpre-LTPを減弱した。また、不安に関わるノルアドレナリンが興奮性シナプス伝達で可塑的変化を形成した。以上から、不安のシナプス可塑性である前帯状回のpre-LTPは、UPSを介した分子機構であること、ノルアドレナリンがシナプス可塑性を形成することが明らかとなった。
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