研究課題
p62-KOマウスに高脂肪食(HFD)を摂餌させ,血液,肝,白色(内臓)脂肪(WAT),褐色脂肪(BAT)を回収し解析を行った.脂肪酸代謝は,肝および脂肪組織の重量と重量当りの遊離脂肪酸(FFA)量および中性脂肪(TG)量を計測し,更に各組織のp62の発現をimmunoblotで解析した.肝組織の脂肪酸代謝の関連因子を定量的PCRで解析した.野生型マウス(WT)肝では,HFD16週間で脂肪滴と軽度炎症を認めたが線維化は殆ど認められなかった.一方,p62-KOではHFD4週間から脂肪滴が出現し,8週間からは炎症細胞浸潤が認められ,16週間では高度の線維化を伴う脂肪性肝炎像を示した.p62-KOでは肝病理の変化と平行して強い肝障害と炎症・線維化シグナルの活性化が認められた.p62-KOでは,HFDにより肝,WAT,BATの組織重量がWTと比較して有意に増加した.p62-KO肝では,HFD摂餌によって単位重量当りのFFA,TG量の有意な増加を認めた.一方,WATおよびBATにおいては,単位重量当りのFFA,TG量に差は認められなかった.WTにおけるp62タンパク発現は,肝では変化がない一方,WAT,BATのいずれもHFDにより増加していた.qPCRではp62のmRNA発現は,肝とWATでは変化がなく,BATでは低下しており,特にWATではautophagyもしくはlipophagyの障害によるp62の蓄積が示唆された.p62-KO肝では,FFAをacyl-CoAに代謝するAcsl1のmRNA発現が低下し,acyl-CoAをFFAに代謝するThem2の発現が増加しており,FFAとacyl-CoA代謝バランスの異常が示唆された.以上の結果より,p62はFFA代謝を介して脂肪性肝炎に対して防御的な機能を果たすものと推測された.
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