研究課題/領域番号 |
17K19888
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鈴木 英雄 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00400672)
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研究分担者 |
柳川 徹 筑波大学, 医学医療系, 教授 (10312852)
磯辺 智範 筑波大学, 医学医療系, 教授 (70383643)
蕨 栄治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70396612)
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241827)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | NASH / LPS / 遺伝子改変マウス / 遺伝子レスキューマウス / 腸管透過性 |
研究実績の概要 |
DKOマウスにおけるNASH発症には,グラム陰性菌の増加と腸管上皮バリア機能の脆弱性によるLPSの肝への流入量の増加が重要である. Nrf2遺伝子のイントロンに、LoxP配列で挟まれた転写終結シグナルおよびpolyA付加シグナル配列を挿入したノックインマウス(Nrf2KI/KI)を作製した.このマウスとの交配により,Nrf2KI/KI/p62-/-マウスを得た. 次に,全身でのp62とNrf2遺伝子二重欠損下において,組織特異的にNrf2の発現をレスキューするために,上記マウスと腸管特異的にCreリコンビナーゼを発現するVill-creマウスと交配した.これにより生まれる仔は,Creが発現する腸管でのみLoxPで挟まれた転写終結シグナルおよびpolyA付加シグナルが除去されるため,Nrf2の発現が腸管特異的にレスキューされた. 全身性DKOマウス,腸管上皮特異的Nrf2遺伝子レスキュ-マウスにおいて,各種表現型の解析を進捗させている. Nrf2腸管特異的レスキューマウスについて解析を行った.経時的な体重測定を行い,体重増加は全身DKOマウスと大きな変化が認められなかった.肝NASH病態を病理組織学的に解析し,SAF scoreでスコア化した.Nrf2腸管特異的レスキューマウスでは,脂肪化スコア 0.40±0.24点,活動性(炎症)スコア 1.00±0.32,線維化スコア1.40±0.51点であり,全身DKOマウスと比較して脂肪化は軽度軽快傾向が見られたが,活動性,線維化については統計学的有意差は認められなかった.腸管透過性を評価するためFITC-デキストランを経口投与し,その後血中濃度を測定した.全身DKOマウス61.9±6.2 AUCに対し,Nrf2腸管特異的レスキューマウスでは47.5±13.0 AUCと低下(改善)傾向を認めたが有意な差は認められなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
作製したNrf2遺伝子腸管特異的レスキューマウスにおいて,予想されたNASH発症の抑制や腸管透過性亢進の改善などの表現型の変化が認められなかった.現在,作製されたマウスのゲノタイピングを実施している.
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今後の研究の推進方策 |
Nrf2遺伝子について,DKOマウスに腸管上皮細胞における細胞特異的遺伝子レスキュ-マウスを再度作製し, 本遺伝子レスキュ-マウスにおける表現型の変化について解析する.腸管上皮細胞特異的レスキューマウスと全身欠失マウスにおいて,NASHと肝発癌の頻度を比較し,肝発癌の抑止におけるNrf2の役割を解明していく.
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