研究課題
本研究の目的は固形組織全体で発現しているPLS3遺伝子の発現を利用することで、臓器横断的な腫瘍マーカーを開発することである。この目的を達成するために群馬大学医学部附属病院外科診療センター、群馬大学総合外科学講座にて以下の癌細胞株を用いた研究、癌切除検体を用いた解析、癌患者由来血液検体を用いた検討を開始した。平成29年度に実施した具体的な研究成果を以下に示す。1) 当科で保有する胃癌細胞株4種類全てでのPLS3タンパク発現確認できた。2) 当科で保有する食道癌癌細胞株4種類全てでPLS3タンパク発現を確認できた。3) 食道癌臨床検体100症例でPLS3タンパク発現を免疫染色法で評価した。4) 血液マーカーとしてのPLS3発現を評価するためにデジタルPCRの実験手技の講習会を実施した。
2: おおむね順調に進展している
複数の固形癌におけるPLS3の発現についてはすでにタンパクレベルで確認することができた。また、血液マーカーとしてのPLS3発現意義を解析するための手法として新規にデジタルPCR法による解析についての講習会を受講することができ、来年度は臨床検体での血中PLS3発現の評価を進める計画である。
1) 食道癌以外での固形癌臨床検体(胃癌、大腸癌、肝臓癌)でのPLS3発現意義を検討する2) 固形癌患者由来の血液検体を用いてPLS3発現を評価する:2-1) 血液検体は食道癌、胃癌、大腸癌、肝臓がん、肺癌患者からの集積を予定2-2) 血液からのRNA抽出手法については現在複数のプロトコールを検討中であり、可及的速やかに方針を確定する。2-3) 検出手法としてはデジタルPCRを用いる計画であるが、real time RT-PCRの検討も平行しておこないデジタルPCR測定の意義、利点はあるのかも検証する予定である。
次年度の研究計画として、多数の臨床検体での PLS3発現意義の解析を予定している。この発現評価実験は本研究のメインデータになる解析であり、この解析にかかる費用を確保するために次年度使用額が生じた。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
Annals of Surgical Oncology
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