研究課題/領域番号 |
17K19898
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
友田 明美 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 教授 (80244135)
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研究分担者 |
谷池 雅子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 教授 (30263289)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 愛着障害 / 発達障害 / 睡眠障害 / マルトリートメント / 分子イメージングバイオマーカー |
研究実績の概要 |
我々は日々の臨床の中で、愛着障害と発達障害とが複雑に絡み合うことを知っている。特に知的な遅れのない自閉症は愛着障害者の25%を占め、マルトリートメントのハイリスク群である。また、重度の問題行動を生じた発達障害の症例には、虐待やいじめなどの迫害体験が認められる本申請では既存の研究では到達できていないユニークな「発達科学と神経科学の融合による発達的中間表現型」の視点から、児童青年や若年成人を対象とし、定型・非定型発達者双方から脳MR画像・認知/行動指標のデータを集積する。さらに唾液や口腔粘膜、血液等の試料から生体指標を取得し、内分泌や遺伝子発現やエピジェネティクスに関する検討を行うことで、マルトリートメントや睡眠障害が脳発達に及ぼす影響や、精神疾患発症とそのメカニズムを評価することを目的としている。 当該年度は、ADHD児では実行機能に関与する大脳皮質-小脳の神経ネットワークが異常を示し、その神経ネットワークはCOMT遺伝子多型と関連していることを示した。また視線計測による評価から、児の社会的情報の注意対象が発達に伴い変遷すること、またその制御にオキシトシンホルモンが関与していることを明らかにした。 本研究により、マルトリートメントや睡眠障害が脳発達に及ぼす影響を評価することで、中間表現型の同定に寄与すると考えている。今後はその生理的機序の解明に取り組みたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
複数の実験を終了し、現在国際誌投稿の段階に入っている。本研究の独創性を反映したユニークな視点、手法による結果が得られたため、当初の予定を超える順当な成果をあげたと評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き今年度も、福井大と大阪大で被験者リクルートおよびエピジェネティクス解析を推進する。また、それらの結果について論文投稿を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)疾患の特異性のため、当初計画していた被験者が集まらず、リクルート期間を延長せざるを得なかった。しかし、引き続き被験者をリクルートし、今年度中にMRIデータで最終解析を行う予定である。 (使用計画)さらに被験者リクルートを積極的に行い、得られたデータから発達障害や愛着障害の中間表現型、すなわち脳MRI画像、行動、分子データを多変量解析し、非定型発達のモデル化を目指す。
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