研究課題/領域番号 |
17K19899
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
望月 和樹 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (80423838)
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研究分担者 |
針谷 夏代 山梨学院大学, 健康栄養学部, 准教授 (80732784)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 高グルコース環境 / 末梢血白血球 / 脂肪肝 / Gene body / ヒストンアセチル化修飾 / ペントースリン酸経路 |
研究実績の概要 |
糖尿病モデルNSYマウスに水溶性食物繊維βグルカンを含む大麦、および小腸の2糖類水解酵素を阻害するデオキシノジリマイシンを含む桑の葉を投与すると、随時血糖の低下や脂肪肝の改善が観察された。末梢血白血球におけるTNF-αやIL-1βなどの炎症遺伝子とCat, Gpx1, Sod1などの抗酸化関連遺伝子の発現が、大麦や桑の葉の摂取で低下傾向が観察された。桑の葉食投与によって肝臓の脂肪肝関連遺伝子(Dgat1、Cidec、Pparg2)の発現低下傾向や、抗酸化関連遺伝子Gpx1の発現増大傾向やGpx2の発現低下傾向が観察された。HepG2肝実質細胞への一過性の高グルコース環境への暴露は、低グルコース環境に戻したのちでも抗酸化関連遺伝子(PRDX1、TXNRD2、CAT等)の発現低下をもたらすこと、その発現低下にGene bodyのヒストンアセチル化修飾が関連する可能性が示唆された。単球様培養細胞THP-1細胞を高グルコース環境に暴露すると、炎症関連遺伝子TNF-αや炎症に関与するTLR9、ITGA6、MEFV の発現が増大することが明らかとなった。さらに、THP-1細胞において高グルコース環境暴露時にペントースリン酸経路の律速酵素で活性酸素種を産生させるキサンチンオキシダーゼの阻害剤トピロキソスタットを添加すると、IL-8、TLR9、ITGA6などの炎症関連遺伝子の発現が低下することや、SOD やGSR、PRDXなどの抗酸化遺伝子の発現が上昇することが明らかとなった。これらの結果により、一過性の高グルコース環境による炎症増大にはペントースリン酸経路の過剰な活性化が関与する可能性が明らかとなった。今後は、上記の動物細胞モデルで、高血糖による炎症の増大に、Gene bodyエピゲノムが関与するかを明らかにする必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に動物、細胞において食後高血糖モデルを作成できており、一部エピゲノムの評価もできている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、OLETFラットなどの軽度耐糖能異常動物において食後高血糖モデルを構築するとともに、作成した食後高血糖モデルにおいて、食後高血糖の増大がどのようにGene bodyエピゲノムを攪乱するかを調べる。さらにヒトにおいても食後高血糖による動脈硬化の促進機構を明らかにするため、糖尿病患者や健常人の血液を用いて解析する。
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