研究課題/領域番号 |
17K19899
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
望月 和樹 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (80423838)
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研究分担者 |
針谷 夏代 山梨学院大学, 健康栄養学部, 准教授 (80732784)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 食後高血糖 / 炎症性サイトカイン / 大麦 / 2型糖尿病 |
研究実績の概要 |
1. 2型糖尿病発症モデルにおける食後高血糖および炎症性サイトカイン遺伝子発現の大麦による抑制効果 肥満により徐々に2型糖尿病を発症するOLETFラットに5%大麦+5%米粉水溶液(大麦米粉混合液)を体重100gあたり2 mL投与する糖負荷を5日間行った。その結果、大麦米粉混合液を投与した群では、10%米粉水溶液投与群と比較して、食後の血糖抑制効果が観察されると共に、投与後の120分後において末梢血白血球におけるTNFαやIL-1βのmRNA発現が低い傾向を示した。 2. 2型糖尿病患者における食後高血糖および末梢血白血球における炎症性サイトカイン遺伝子発現の大麦による抑制効果 2型糖尿病患者を対照に、白米を1日2食4日間摂取させ、その後6日または7日間続けて1日2食麦ごはんを摂取させる試験を行った。その結果、大麦の摂取は食後高血糖を低下させると共に、末梢血白血球において炎症性サイトカインIL-8が低下することが明らかとなった。さらに血液凝固因子F5の末梢血白血球におけるmRNA発現量は、白米摂取時には食後120分後に増大するが、大麦摂取時には、増大が観察されなかった。 以上のラットおよびヒトの結果結果より、大麦の繰り返しの投与は、食後高血糖の増大を抑制するとともに炎症を抑制する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プランしていた動物実験並びにヒト試験を行えたため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの我々の研究により、2型糖尿病患者において、薬剤(ミグリトール、アカルボース)等や食品(大麦)で長期に渡って食後高血糖を抑制すると末梢血白血球における炎症性サイトカインの発現が低下することを明らかにしている。しかしながら、長期に渡って食後高血糖を抑制した患者において、単回の食後高血糖の増大で、末梢血白血球における動脈硬化関連遺伝子の発現が増大するかは明らかになっていない。そこで、長期に渡って食後高血糖をミグリトールで抑制した患者において、単回の食後高血糖により末梢血白血球において発現が増大する遺伝子をマイクロアレイ解析によって同定する研究を行う。 さらに、短期間の高血糖が、末梢血白血球に存在する単球等の免疫応答細胞の炎症関連遺伝子の発現を直接的に増大させるかを検討するために、単球様THP-1細胞に短期間の高血糖暴露(±抗酸化食品成分βカロテン)をし、炎症関連遺伝子の発現が増大するかを検証する。さらに、炎症性サイトカインの発現増大にヒストン修飾が関与するかを検証する。
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