研究課題
2型糖尿病患者において、単回の食事負荷前後の末梢血白血球における炎症関連遺伝子のmRNA発現の差異をマイクロアレイ解析およびqRT-PCR 解析によって調べた。その結果、絶食状態におけるS100A4、S100A8および凝固因子V(F5)および180分におけるS100A4、S100A6、S100A8、S100A10およびS100A12のmRNA発現は、食事療法をのみを行った2型糖尿病患者において、ミグリトールによる薬剤治療を実施した患者と比較して高かった。 180分のS100A12、S100A6、DEFA3、およびCD22のmRNA発現は、ミグリトール療法の2型糖尿病患者よりも食事療法のT2DM患者の方が高かった。これらより、食事療法の2型糖尿病患者は、ミグリトールによる薬物療法を受けている患者よりも、末梢白血球のS100タンパク質ファミリーや血液凝固に関与する遺伝子等のmRNA発現が高く、炎症が促進されていることが推察された。短期間の高血糖が、末梢血白血球に存在する単球等の免疫応答細胞の炎症関連遺伝子の発現を直接的に増大させるかを検討するために、単球様THP-1 細胞に短期間の高血糖暴露(±抗酸化食品成分βカロテン)をした。その結果、高グルコース培地で、CD11A、TNFAのmRNA発現が低グルコース培地と比較して高い傾向を示したほか、βカロテンの投与によって、IL31RA、CD38、NCF1B、ITGAL、FGR、CSF3R等の炎症関連遺伝子のmRNA発現が高く、CD38、NCF1B、ITGALにおいて、遺伝子周辺のH3K4ジメチル化、H3K36トリメチル化、H3K9のアセチル化が高いことが明らかとなった。これらの結果は、高グルコースやβカロテンシグナルは、単球様THP-1細胞の炎症応答を増悪すること、そのメカニズムにはヒストン修飾が関与することが示唆された。
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