研究課題/領域番号 |
17K19906
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
喜多村 祐里 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90294074)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | オリンピアン / 生存解析 / 寿命 / アスリート / セカンドキャリア |
研究実績の概要 |
オリンピアンは卓越した身体能力を有する一方、長期間にわたって高強度運動負荷と心理的重圧などに曝されてきたにもかかわらず、一般に比ベて死亡は低いという先行研究が多い。しかし、その理由やメカニズムについては未だ明らかではない。本研究では、百有余年にわたり国民に希望と栄光をもたらしてきた全てのオリンピック代表選手に敬意を表すると共に、その後の生命予後について調べ、オリンピアンズコホートデータベースを構築する。これにより『オリンピアンは何故一般人に比べ長生きできるのか?』という問いに対する科学的根拠を明らかにする。 具体的には、戦後開催(モスクワ大会除く)のオリンピック出場者約3500人について、公開情報源のみを使って確認できた死亡者数は夏季・冬季を合わせて150名、総観察人年は9万人年(一人あたり平均追跡期間:27年)となり、一般人口に対する標準化死亡比SMR: standard mortality ratioは0.3を下回っていた。これはオリンピアンが運動能力、体力共に優れていることに加えて日頃の生活習慣においても運動や体力維持に心がける行動特性が関連すると考えられる。さらに代表選手であった期間の長さや競技種目の運動強度別にみた場合、オリンピック出場回数が多く長年にわたって代表に選ばれた選手や、運動強度の高い種目の選手では死亡リスクが高くなる傾向がみられた。 今後は、アンケート調査を実施して、確度の高い転帰情報を収集するとともに、人口動態統計死因情報との突合を試み、オリンピアンの死因別死亡リスクの評価を行う。さらに、オリンピアンのセカンドキャリア形成に資するエビデンスの確立やオリンピアンコホートデータベース利用基盤の整備を推進する。 上記の成果については論文執筆中であり、並行してアンケート調査の実施準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画の通り、アンケート調査に用いる自記式質問紙票の作成までは完了している。今後は、調査の実施に向けて、IRB承認、次いでJOCをはじめとする各競技団体の協力を得て、調査表の送付作業を順次進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、各競技団体の協力を得て、アンケート調査依頼を行い、データの収集方法としては質問紙票への自記式回答かもしくはインターネットを利用したウェブ登録による回答のいずれか選択制とする。収集データは匿名化後に、大阪大学データセンターにて解析を行う。転帰が死亡となっているオリンピアンについては、人口動態統計の死因情報との突合作業を行なって死因を特定し、死因別の死亡リスクの評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンケート調査を外部委託するため、当該年度の使用額をできる限り低減すべく努力した。アンケート調査実施には送付・再送付に加え、データの電子化及び匿名化の作業に人手を要するため十分な予算を確保しておかねばならない。こうした理由から次年度使用額が発生しており、適切な使用計画に基づくものである。
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