研究課題/領域番号 |
17K19907
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
林 美加子 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (40271027)
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研究分担者 |
山田 朋美 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (70452448)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 骨導 / 食リズム / 健康寿命 / 振動子 |
研究実績の概要 |
健康日本 21(厚生労働省)では、健康習慣「運動」において 年代ごとの歩数といった客観的な目標値が掲げられている。「食」においても歩数計のように日常生活の食関連データを連続記録して測定できるデバイスが必要であると考えられる。本研究では、食リズム(「食」の頻度、噛む力・回数・リズム、飲食の時間)を、簡易に計測できる精度の高いデバイスを開発することを目的としている。 食事での噛む回数の測定を試みた製品はすでにいくつか報告されている。本研究ではこれまで報告のない骨導に着目している。骨導音を拾い上げ測定・記録する手法を採用し、食リズム測定に応じた最適な骨導振動子の装着部位やSN比を向上させる要件について詳細に検討を試みた。 具体的には、十分な説明を行い同意を得た被験者に試作骨導振動子を装着し、咀嚼能力解析用グミゼリーをたべている間に歯から骨導振動子に伝わる信号波形を多チャンネルデータレコーダ 等にて観察した。装着部位や計測条件を変えてデータ取得を繰り返し、さらに、データ解析用 PC 上でソフトウエアを用いて収録データの振動レベル帯域や継時的な波形変化量の違いを評価した。その結果、新規骨導振動子の試作のために必要な適切と考える装着部位と望ましい測定精度を得るために必要十分な周波数帯域を求めることができた。引き続き、骨導振動子の精度を向上させるため被験者の人数を増やした検討をすすめ、骨導振動子の試作を完了させる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は食リズム測定に応じた最適な骨導振動子の装着部位やSN比を向上させる要件について詳細な検討を試みた。歯から骨導振動子に伝わる信号波形を多チャンネルデータレコーダ 等にて観察し、データ解析用 PC 上でソフトウエアを用いて収録データの振動レベル帯域や継時的な波形変化量の違いを評価した。その結果、「食」の頻度、回数・リズムといったの測定に適切な骨導振動子の装着部位を求めることができた。さらに食リズム測定解析に必要十分な周波帯域をもとめることができた。平成29年度に予定していた骨導振動子の検討はおおむね当初の実験計画どおりに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
30年度以降は、咬合圧および噛む回数や頻度等を数値化していく予定である。咬合圧については、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)シートを利用した新たな咬合圧センサを作製する予定である。咬合器上で、もしくは被検者において側方や滑走運動等でのセンサにかかる電気信号測定値を検討し、骨導信号と比較することで噛む力を数値化する。また、歯から伝わる骨導信号を解析し噛む回数や頻度等を数値化する予定である。さらに、骨導信号解析により得られた信号特徴抽出と分類化をすすめ食のパターンを判定・評価するシステムを作成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 大阪大学大学院歯学研究科および大阪大学歯学部附属病院の倫理委員会への申請が承認を得るまでに予定より時間がかかったため、被験者を用いる実験の一部は翌年度に持ち越すことになったことによる。 (使用計画) 次年度は、骨振動子についての実験や、咬合圧の評価のためのポリフッ化ビニリデン(PVDF)シートを利用した新たな咬合圧センサを作製にかかわる備品・消耗品等に使用する予定である。また、打ちあわせや研究成果の海外での学会発表のための旅費を支出予定である。
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