健康日本 21(厚生労働省)では、健康習慣「運動」において 年代ごとの歩数といった客観的な目標値が掲げられている。「食」においても歩数計のように日常生活の食関連データを連続記録して測定できるデバイスが必要であると考えられる。本研究では、食リズムを、簡易に計測できる精度の高いデバイスを開発することを目的とし、歯導音(歯から骨を伝わる骨導音)に着目した測定システムの開発を目ざした。 30年度に、歯導音(骨導振動)を音として拾い上げ測定・記録する手法で、さまざまな食材を食べるときの食リズム測定を行った。令和元年は、乳様突起部(耳後ろ)に装着した超小型骨導センサによる歯導音計測に加えて、光学式モーションキャプチャーカメラ2台および気導音収録用マイクロホンを用いて、口唇周囲、顎、前額部に装着した反射マーカー(トラッカー)の動きをカメラにより収録するという、骨導信号計測と光学式モーションキャプチャーシステムを用いた口唇運動解析システムによる咀嚼機能の評価を行った。 歯から伝わる音は食のおいしさへ強く関与している可能性が高い。令和2-3年度は、歯導音の伝達関数を求めることを目的に、歯へ加えた一定の振動を乳様突起部でとらえる手法を考案し、より精度の高い測定システムを構築することに成功した。実用化に向けた検討をすすめ今後咀嚼を含めた口腔機能の適切な診査・診断、治療効果の評価やモチベーション向上に役立てることが期待できる。
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