研究課題/領域番号 |
17K19908
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
秋末 敏宏 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (90379363)
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研究分担者 |
森山 英樹 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (10438111)
河本 旭哉 神戸大学, 医学研究科, 特命講師 (30420558)
原 仁美 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40437489)
新倉 隆宏 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (40448171)
酒井 良忠 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (90397802)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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キーワード | 炭酸ガス / 関節拘縮 / 変形性関節症 |
研究実績の概要 |
令和元年度は、変形性関節症による関節拘縮モデルに対する経皮的炭酸ガス療法の治療効果を実験的に検討した。変形性膝関節症動物モデルとして一般的なモノヨード酢酸(monoiodoacetic acid:MIA)関節内注射と内側半月不安定化(destabilization of the medial meniscus:DMM)を用いた。Wistar系雄性ラットを対象として、膝関節にMIAを投与し、関節炎に誘導される動物モデルと、膝関節内側半月を切除することによる関節の不安定化に誘導されるモデルに対して、経皮的炭酸ガス療法による治療介入を行った。経皮的炭酸ガス療法による介入は、介入時間を1回20分、頻度は1日1回とし、2週間、毎日介入を行った。十分に炭酸ガスを吸収させるため、ラット下肢にハイドロゲルを塗布し、2分おきにアダプター内に炭酸ガスを充填させ、アダプター内に100%炭酸ガスを流入させた。関節軟骨の組織学的評価は、膝関節矢状面サフラニンOファストグリーン染色画像よりOARSIスコアを用いて関節破壊の評価を半定量化した。結果は、経皮的炭酸ガス療法後、膝関節の腫脹が軽減した。また、軟骨厚が有意に減少し、軟骨組織の細胞密度が有意に増加するという関節破壊が軽減された組織学的所見が認められた。この結果は、変形性関節症における関節拘縮の原因となる炎症・関節破壊に対して経皮的炭酸ガス療法が治療効果を有する可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和元年度に、変形性関節症動物モデルにおける関節拘縮に対する炭酸ガス(CO2)療法の効果を検証した。その結果、CO2治療群は関節軟骨において軟骨厚が有意に減少し、細胞密度が有意に増加した。さらに関節拘縮に関する免疫組織化学的および分子生物学的評価の追加実験を行ったが、特に分子生物化学的検討に想定以上に時間を要し、期間内に終了しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度には、前年度に完了できなかった実験を施行する。具体的には変形性関節症による関節拘縮モデルに対して経皮的炭酸ガス療法を介入した関節組織を、関節軟骨の合成マーカーおよび分解マーカー、炎症性サイトカインに着目し、免疫組織化学的および分子生物学的に評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度においては、実験が遅れたため、物品費・旅費・人件費等の使用額が予定より少なかったため、余剰が生じた。 次年度の研究は、消耗品および成果発表等にての旅費に充当し使用予定である。
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