研究課題/領域番号 |
17K19912
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松井 利郎 九州大学, 農学研究院, 教授 (20238942)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 高血圧 / レニン-アンジオテンシン系 / 機能性食品 / ペプチド / 代謝物動態 |
研究実績の概要 |
レニン-アンジオテンシン(RA)系は血圧上昇を担う代謝系であり、アンジオテンシンI変換酵素(ACE)阻害が降圧作用の本体である」との従来説を覆し、血圧調節系としてのRA系の実証とAng代謝の正常化を指標とする新たな高血圧および関連疾患予防食品研究の創製を提唱するものである。そこで、本年度では、RA系代謝物相関を最終目標とする上で重要となるRA系代謝物の一斉分析法の設定を試みた。 まず、Sprague-Dawley(SD)ラットを用いて、血漿1 mLからアンジオテンシン(Ang) I, Ang II, Ang-(1-7)をfmol/mLレベルにおいて検出することを目的として、各種MS分析法を検討した。より高い検出感度を得るために、ペプチド誘導体化法を検討し、カルボキシル基誘導体化剤として2-picolylamine、1-(2-pyrimidyl)piperazine、アミノ基誘導体化剤としてTNBS、NDA、アセチル化剤として無水酢酸を用いて、対象アンジオテンシン(Ang)代謝物に対しそれぞれ誘導体化反応を行い、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)-MS法による誘導体化代謝物の合成確認とLC-IT-MS/MS法による分析を試みた。その結果、一斉解析のための逆相カラム分離条件、MS解析のためのMRMトランジット条件等を設定することができた。各種誘導体化法のうち、カルボキシル基誘導体化およびアセチル化を同時に行うことによって、対象Ang代謝物はサブpmolレベルにおいて一斉検出が可能であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高血圧自然発症ラットでの加齢に伴う血圧亢進とRA系賦活の相関を得ることが本研究の課題であるが、同一固体をと殺することなく長期に観察(血液試料採取)し、代謝物療を一斉解析するには微量血液での高感度分析法の設定が必要である。現時点では血液1mLレベルでのfmol検出が可能な分析法を設定することができたが、上記観察を達成するにはさらに10倍以上の感度を示す方法が必要であり、これを現在検討している段階であるため。
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今後の研究の推進方策 |
正電荷を保有する誘導体化剤を用いて、LC-TOF-MSあるいはMS/MS測定法の構築を図り、更なる高感度検出系の設定を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は代謝物解析法の設定に特化し、高血圧自然発症ラットを用いた長期飼育数が僅かであったため、次年度への繰り越しとなった。次年度においては、当該ラット飼育を実施するため、この飼育費に充当する予定である。
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