研究課題/領域番号 |
17K19913
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
作見 邦彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (50211933)
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研究分担者 |
大野 みずき 九州大学, 医学研究院, 助教 (70380524)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 突然変異 / 生殖細胞 / 凍結保存 / エクソーム解析 / MTH1 / OGG1 / MUTYH |
研究実績の概要 |
不妊治療の普及に伴い体外受精による子供が全出産数に占める割合は2014年度の時点で約5%に達し,今後も更なる増加が予想されている。さらにその75%以上が凍結を経た受精卵によるものである。海外の報告では,体外受精に伴う知的障害の発生頻度の上昇が有為差をもって検出されている。一方,国内では人権等の理由から体外受精や凍結保存が健康に与える影響,リスクの評価が研究対象になっているとは言い難いのが現状である。我々のMth1/Ogg1/Mutyh triple KO (TOY-KO)マウスは生殖細胞自然突然変異率が2.0 × 10-7 mutations/ntd/generation (野生型の約17倍)でありその99%は8-oxoGに起因するG>T transversion mutationである。このマウス(遺伝的背景はC57BL/6J)と全エクソーム解析を組み合せることで1匹あたり20個程度の自然突然変異を検出することができる。これを使うことで体外受精に伴うゲノム障害リスクを定量化できるはずである。本研究は,今後50年以上の追跡調査が必要な体外受精児の臨床データの蓄積に先んじて,体外受精のリスク評価とその回避方法の検討を行うことを可能にする選択枝のひとつである。 「TOY-KOマウスを用いて直接的に突然変異頻度の変化を観察することで体外受精や凍結保存が健康に与えるリスクの予測・評価を行う」ために,TOY-KOマウス1ペアを用いて自然交配による子供と,体外受精に伴う処置(排卵ホルモン処理→体外受精→培養→凍結保存→移植)を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は以下の研究を行った。新しくC57Bl/6JバックグラウンドのMth1/Ogg1/Mutyh triple KO (TOY-KO)マウスを樹立した。この系統の中から選んだ親子4匹のDNAを用いてエクソーム解析を実施した。 同時に同じ親からMth1/Ogg1 double KO (TO-KO)マウス, Ogg1/Mutyh double KO (OY-KO)マウス, Mth1/Mutyh double KO (TY-KO)マウスを樹立した。
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今後の研究の推進方策 |
新しく樹立したTOY-KOマウスを増殖させる。十分な数のメスマウスの準備が出来次第,TOY-KOマウスの体外受精,凍結保存を行い,液体窒素中の保管を開始する。また,エクソーム解析の結果を分析,以前の結果と比較して突然変異頻度の再現性を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次世代シークエンサー解析のオーダーに遅れが生じたため本年度中の決算が間に合わなかった。予定の次世代シークエンサー解析を次年度行うため全体の過不足は出ない見込みである。
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