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2017 年度 実施状況報告書

vivo/vitro乖離を解消する肝細胞機能レストア培養法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 17K19916
研究機関佐賀大学

研究代表者

辻田 忠志  佐賀大学, 農学部, 講師 (20622046)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2020-03-31
キーワード肝細胞 / 初代培養 / Nrf1
研究実績の概要

本年度は下記の実験について検討した。
研究1:通常酸素暴露は肝細胞にとって易か毒か?
肝臓は生体内において外来薬物の解毒代謝を司るため、肝実質細胞(肝細胞)が安全性試験に供される。生体内において肝細胞は抗酸化応答タンパク質を発現しておらず、刺激依存的に防御反応として発現する。そのため、動物を安楽死させたのち、肝臓をコラゲナーゼで還流する従来の初代肝細胞の調整方法では、組織を急激に大気酸素濃度下(21%)にさらしてしまい、高酸素暴露様の刺激が細胞に入力される。本年度は肝細胞の調整、培養時に、酸素濃度変化を抑えることで、生体に近い薬剤感受性を維持出来るかを検証した。動物を安楽死させた後、速やかに低酸素チャンバー(酸素濃度10%)中で開腹、還流を行い、肝細胞の分離、培養を試みた。通常酸素濃度下で調整した肝細胞と比較してメナジオン・シスプラチンに対する薬剤感受性があがる傾向を確認した。今後個体数を増やしてEC50を算出する。これらの肝細胞間で、Nrf1およびNrf2の標的遺伝子の比較をしたところ、予想通り変動が確認された。さらに生化学的な検討を進めるためマイクロアレイ等で遺伝子発現状態の比較を実施中である。
研究2:大気下での培養はいつどのような刺激がNrf1タンパク質を変動させるのか?
Nrf1タンパク質は生体から回収した肝臓には豊富に存在するが、その肝臓から肝細胞を単離してしばらく培養した初代肝細胞では著明に減少することを見出した。これはNrf1のmRNAが著明に減少することが原因であった。Nrf1の転写調節については未だ明らかになっていないが、急激な酸素濃度の変化がNrf1の発現変動に関与すると考え、低酸素関連転写因子HIF-1、酸化ストレス認識転写因子Nrf2などのクロマチン免疫沈降実験を行っており、転写調節領域を見いだす道筋を確立した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初代肝臓細胞の培養技術を確立し、低酸素中での解剖システムなどが導入して安定的に稼働を始めることができた。現時点では、nrf1をどのようにして転写調節するのか、探索の途上であるが、網羅的CHIP解析のデータを用いることによって領域が明らかになると考えている。

今後の研究の推進方策

低酸素中で肝細胞を調整する方策を安定させ、クロマチン免疫沈降実験の精度を向上させるとともに、代謝物解析なども取り入れて、nrf1がなぜ初代肝細胞で減少するのかを明確にする。

次年度使用額が生じた理由

交付決定が7月末であったので、実質研究機関が短かったことと、体感する教授の物品や試薬等を譲り受けることができたので、物品・消耗品費用がかからなかったことが主たる理由である

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2017 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A ubiquitin-proteasome inhibitor bortezomib suppresses the expression of CYP11B2, a key enzyme of aldosterone synthesis2017

    • 著者名/発表者名
      Ito Ryo、Sato Ikuko、Tsujita Tadayuki、Yokoyama Atsushi、Sugawara Akira
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun

      巻: 489 ページ: 21~28

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2017.05.109

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Time-resolved Fluorescent Detection for Glucose Using a Complex of Luminescent Layered Titanates and Enzymes2017

    • 著者名/発表者名
      SAKAGUCHI Yuki、MINAMIKAWA Tomoka、YAMAMURO Mayuko、TSUJITA Tadayuki、UEDA Toshihisa、KAMADA Kai、SOH Nobuaki
    • 雑誌名

      Anal Sci

      巻: 33 ページ: 989~991

    • DOI

      10.2116/analsci.33.989

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Induction of erythropoietin gene expression in epithelial cells by chemicals identified in GATA inhibitor screenings2017

    • 著者名/発表者名
      Kaneko Hiroshi、Katoh Takehide、Hirano Ikuo、Hasegawa Atsushi、Tsujita Tadayuki、Yamamoto Masayuki、Shimizu Ritsuko
    • 雑誌名

      Genes Cells

      巻: 22 ページ: 939~952

    • DOI

      10.1111/gtc.12537

    • 査読あり
  • [学会発表] Functional analysis and advanced application for drug discovery with environmental response transcriptional factors2017

    • 著者名/発表者名
      辻田忠志
    • 学会等名
      第6回脳科学セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] 唐津地産抽出物ライブラリーに含まれる有効成分の培養細胞による評価抗酸化活性を評価できるモニター細胞の創出とその応用2017

    • 著者名/発表者名
      辻田忠志
    • 学会等名
      第5回JCC産学交流セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] アロステリックなPHD活性阻害によるHIF誘導低分子化合物の創出.2017

    • 著者名/発表者名
      廣津留倖一, 北川尚穂, 川口真一, 辻田忠志
    • 学会等名
      第41回蛋白質と酵素の構造と機能に関する九州シンポジウム
  • [学会発表] リガンド2OGの構造に基づいた分子設計による低酸素誘導因子の活性化2017

    • 著者名/発表者名
      黒木紗英, 辻田忠志, 川口真一
    • 学会等名
      第41回蛋白質と酵素の構造と機能に関する九州シンポジウム
  • [備考] 佐賀大学 農学部 生命機能科学科 生化学分野

    • URL

      http://seika.ag.saga-u.ac.jp/index.php?FrontPage

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公開日: 2018-12-17  

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