研究課題
昨年度に引き続き、ベージュ脂肪細胞の分化・活性化に関与する分子の遺伝子発現プロファイルをもとに細胞実験をおこなったところ、同じレセプターを共有するボンベシン様ペプチドのNeuromedin B (NMB) およびGastrin Releasing Peptide (GRP)が関与している可能性を見出した。そこで、NMBとGRPの遺伝子欠損マウスを作製した。まず、NMB遺伝子欠損マウスにおいて、通常食および高脂肪食摂餌下における体重変化を野生型マウス群とNMB遺伝子欠損マウス群間で検討した。通常食摂餌下では野生型マウス群とNMB遺伝子欠損マウス群間において有意な体重差は認められなかった。一方、高脂肪食摂餌下では、野生型マウス群に比べNMB遺伝子欠損マウス群において体重増加量の有意な減少が認められた。続いて、普通食および高脂肪食摂餌下における摂食量、活動量および酸素消費量について検討を行ったところ、摂食量および活動量については両群間で有意な差は認められなかった。一方、酸素消費量については、高脂肪食摂餌下において、野生型に比べ NMB遺伝子欠損マウス群で有意に増加していることが明らかとなった。また、普通食摂餌下では NMB遺伝子欠損マウス群の褐色脂肪組織における脂肪滴の蓄積が野生型に比べて減少していた。加えて、NMB遺伝子欠損マウス群では高脂肪食負荷後の肝臓重量が野生型群に比べ著明に低下していた。以上のことから、NMB遺伝子欠損マウス群では褐色脂肪組織における熱産生の増加によって、高脂肪食摂餌による体重増加および肝臓への異所性脂肪の蓄積が抑制されていることが示唆された。現在、GRP遺伝子欠損マウスおよび両遺伝子のダブルノックアウトマウスに関しても代謝に関する解析を進めている。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Heliyon
巻: 未定 ページ: in press
Biochem Biophys Res Commun.
巻: 525 ページ: 726-732
10.1016/j.bbrc.2020.02.157.
巻: 525 ページ: 129-134
10.1016/j.bbrc.2020.02.066.
Cell Research
巻: 29 ページ: 579-591
10.1038/s41422-019-0181-4
http://www.med.oita-u.ac.jp/seika1/