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2018 年度 実施状況報告書

骨格筋から発見された新規マイオカイン分子の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K19920
研究機関首都大学東京

研究代表者

眞鍋 康子  首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (60467412)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2020-03-31
キーワード骨格筋 / マイオカイン
研究実績の概要

運動がもたらす多様な健康効果は、骨格筋から分泌されるマイオカインによってもたらされるという研究が進展している。しかし、これまでにマイオカインと報告されているものは、実際には「新規」ではない。それらは過去に骨格筋以外の臓器で分泌タンパク質として知られていたものが、骨格筋でも分泌されることが明らかになったものである。本研究では、次世代シーケンス法によるトランスクリプトーム解析から発見された新規マイオカイン(仮称#30020)が、骨格筋でペプチド・タンパク質に翻訳され、分泌され、生理的な役割を生じさせるかどうかを明らかにすることを目的としている。これまでの結果、ヒト骨格筋における発現をPCRにより確認したところ、予測される位置にバンドが見られた。また、ヒト骨格筋から#30020の全長cDNA をクローニングして、HAのタグをつけ、今後のツールに使用するための発現ベクターを構築した。2018年度はHAタグ付きの発現ベクターをマウス骨格筋または骨格筋細胞に過剰発現させ、そのタンパク質として発現するかについてHA抗体と特異的抗体の作製により検証した。抗体の作製は、#30020のC末側のペプチドをターゲットとした。その結果、HA抗体ではタンパク質の発現が確認できたが、#30020の特異的抗体では明確な検出ができなかった。現在はさらに手法を変え、継続して研究を行っている。また、HAタグ付きの発現ベクターを過剰発現させたマウス骨格筋組織内での局在も同時並行で検証中である。#30020の発現と分泌を証明したのちに、その生理的役割の解明につなげることで、#30020のマイオカインとしての性質を明らかにしていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度までに#30020を骨格筋からクローニングし、実験ツールとして使うため、タグが付加されていないベクター、または、HA-tagを付加した発現ベクターを作製した。これらのベクターをin vivo エレクトロポレーション法にてマウス下肢に強制発現させ、HA抗体を用いたウェスタンブロッティングすることで#30020が骨格筋で発現すること確認している。H30年度は、骨格筋に#30020が内因性に発現していることを確かめるため、、#30020分子のペプチド断片に対する抗体を作製して、ヒト骨格筋での発現を検証した。まず、作製した抗体が#30020を認識できるかの検証を行った。マウス片脚に#30020-HAtagベクターを、もう一方には空ベクターを強制発現させた骨格筋サンプルを用いて、作製した抗体と、HA抗体を用いて検証した。しかし作製した#30020抗体ではHA抗体で確認される位置にバンドを確認することができなかった。HA抗体にくらべて作製した細胞の力価が低い可能性が考えられたので、より効率的に#30020を発現させたサンプルを用いて再度検証することにした。そこで、これまでに作製していたベクターを細胞で薬剤選択が可能なベクターにサブクローニングし、C2C12細胞に強制発現させ薬剤選択し、発現した細胞のみを検証に用いることにした。しかし、C2C12への導入効率が悪く薬剤選択により死滅してしまい、検証に必要なサンプルを得ることができなかった。2019年度は、別の手法で引き続き検証予定である。これと並行して#30020の骨格筋における発現様式を免疫染色法を用いて検証した。さらに、分泌タンパク質であるかを#30020を強制発現させた細胞とヒト由来骨格筋細胞であるHu5KD3細胞を用いて行った。現在、明確なシグナルが得られておらず、引き続き検証していく予定である。

今後の研究の推進方策

H30年度に作製した抗体が#30020を検出できるかの検証を、サンプルを変えて検証する。HAタグ付きの#30020を過剰発現させたサンプルをHA抗体により免疫沈降し、そのサンプルを用いて作製した抗体でウェスタンブロッティング法にて検出を試みる。これらの方法を用いても検証が不可能であった場合は、作製した抗体が目的のものを十分に認識できないと判断し、手法を質量分析法に変えて、再度確認する。#30020を強制発現させたサンプルとヒト骨格筋サンプルを電気泳動により分離し、銀染色によりこれまでHA抗体で得られているバンドの位置にあるバンドを切り出して、質量分析法により#30020の存在を明らかにする。
さらに、#30020の骨格筋での局在を明らかにするため、強制発現させた骨格筋から凍結横断切片を作製し、免疫染色法により#30020の細胞内での局在を明らかにする。#30020の抗体で認識が不可能であった場合は、HA抗体で検証する。また、#30020が分泌されるタンパク質であるか否かは、ヒト骨格筋細胞であるHu5KD3細胞を用いて、電気刺激による収縮の有無の状況下で培養上清を回収し、濃縮してウェスタンブロッティングにて分泌の検証を行う。もし、抗体が目的のものを認識できない抗体であった場合はHAタグ付きの#30020を骨格筋細胞に強制発現させた細胞の培養上清を上記と同様の方法で回収・濃縮し、HA抗体でwesternブロッティング法により検証する。Hu5KD3細胞は株化された細胞であるため、上記方法で明確な結果が得られないときは、Lonzaからヒト初代培養細胞を購入して、検証を行う。

次年度使用額が生じた理由

今年度購入予定のものが次年度になったため

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Evidence for acute contraction-induced myokine secretion by C2C12 myotubes2018

    • 著者名/発表者名
      Furuichi Y, Manabe Y, Takagi M, Aoki M, Fujii NL.
    • 雑誌名

      PLoS One.

      巻: 13 ページ: e0206146

    • DOI

      https://doi.org/10.1371/journal.pone.0206146

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] マイオカインは運動模倣薬となるか?2018

    • 著者名/発表者名
      眞鍋康子
    • 雑誌名

      薬学雑誌

      巻: 138 ページ: 1285-1290

    • DOI

      https://doi.org/10.1248/yakushi.18-00091-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 新規遺伝子R3hdmlは筋衛星細胞の増殖能を制御し、骨格筋の分化再生を促進する2018

    • 著者名/発表者名
      坂本 憲一, 竹本 稔, 古市 泰郎, 高橋 恵, 秋元 義弘, 山本 雅, 石川 崇広, 前澤 善朗, 清水 孝彦, 眞鍋 康子, 藤井 宣晴, 横手 幸太郎
    • 雑誌名

      日本内分泌学会雑誌

      巻: 94 ページ: 292

  • [雑誌論文] 骨格筋から分泌されるマイオカインの役割2018

    • 著者名/発表者名
      眞鍋康子
    • 雑誌名

      FOOD Style21

      巻: 22 ページ: 53-56

  • [学会発表] ルコース濃度がサテライト細胞の増殖能力に及ぼす影響2019

    • 著者名/発表者名
      古市泰郎, 川端有紀,青木美穂,三田佳貴,内田沙綺,眞鍋康子,藤井宣晴
    • 学会等名
      第7回骨格筋生物学研究会
  • [学会発表] 筋に秘められた多彩な機能2019

    • 著者名/発表者名
      眞鍋康子
    • 学会等名
      大阪コスメ倶楽部定例勉強会
    • 招待講演
  • [学会発表] 新規筋衛星細胞発現遺伝子R3hdmlは筋衛星細胞の増殖能を制御し、骨格筋の分化再生に関わる2018

    • 著者名/発表者名
      坂本憲一,竹本 稔,古市泰郎,高橋 恵,秋元義弘,山本 雅,石川崇広,前澤善朗,清水孝彦,眞鍋康子,藤井宣晴,横手幸太郎
    • 学会等名
      第91回日内分泌学会
  • [学会発表] Beta-hydroxy-beta-methylbutyrate (HMB) augments muscle contraction-induced protein synthesis via mTORC1 signaling in cultured L6 myotubes.2018

    • 著者名/発表者名
      Satoko Sato, Yusuke Takamura, Ikko Yamana, Mitsuru Nomura, Akira Uchiyama, Yasuro Furuichi, Yasuko Manabe, Nobuharu L. Fujii
    • 学会等名
      Experimental Biology
    • 国際学会
  • [学会発表] 新規筋衛星細胞発現遺伝子R3hdmlは筋衛星細胞の増殖能を制御し、骨格筋の分化再生を促進する2018

    • 著者名/発表者名
      坂本憲一, 竹本稔, 古市泰郎, 高橋恵, 秋元義弘, 山本雅, 石川崇広, 前澤善朗, 清水 孝彦, 眞鍋 康子, 藤井 宣晴, 横手 幸太郎
    • 学会等名
      第61回日本糖尿病学会
  • [学会発表] 骨格筋培養細胞の収縮力を評価する解析アルゴリズムの開発2018

    • 著者名/発表者名
      濱口裕貴, 松井翼, 出口真次, 古市泰郎, 藤井宣晴, 眞鍋康子
    • 学会等名
      第6回若手による骨格筋細胞研究会
  • [学会発表] Peroxiredoxin-6が骨格筋の糖取り込みに与える作用2018

    • 著者名/発表者名
      小宮祐希, 見城茜, 田岡万悟, 礒辺俊明, 坂井貴臣, 古市泰郎, 眞鍋康子, 藤井宣晴
    • 学会等名
      第6回若手による骨格筋細胞研究会
  • [学会発表] 骨格筋細胞の収縮力を評価する系の確立2018

    • 著者名/発表者名
      眞鍋康子, 濱口裕貴, 松井翼, 出口真次, 古市泰郎, 藤井宣晴
    • 学会等名
      第6回若手による骨格筋細胞研究会
  • [学会発表] グルコース制限はサテライト細胞の純粋かつ大量培養を可能にする2018

    • 著者名/発表者名
      古市泰郎, 川端有紀,青木美穂,三田佳貴,内田沙綺,眞鍋康子,藤井宣晴:
    • 学会等名
      第6回若手による骨格筋細胞研究会
  • [学会発表] :骨格筋培養細胞の収縮力を評価する解析アルゴリズムの開発2018

    • 著者名/発表者名
      濱口裕貴, 松井翼, 出口真次, 古市泰郎, 藤井宣晴, 眞鍋康子
    • 学会等名
      第41回日本分子生物学会
  • [学会発表] 骨格筋細胞の張力を測定する新技術:(シンポジウム)健康科学を牽引する基礎細胞2018

    • 著者名/発表者名
      眞鍋康子
    • 学会等名
      第73回日本体力医学会
    • 招待講演
  • [図書] 酒類のおいしさ『醸造の事典』2019

    • 著者名/発表者名
      眞鍋康子
    • 総ページ数
      2
    • 出版者
      朝倉書店
    • ISBN
      -
  • [備考]

    • URL

      http://www.comp.tmu.ac.jp/muscle/index.html

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公開日: 2019-12-27  

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