研究課題/領域番号 |
17K19923
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
國安 弘基 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00253055)
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研究分担者 |
谷 里奈 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (20783872)
大森 斉 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (80213875)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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キーワード | がん性サルコペニア / 悪液質 / アミノ酸 / ビタミン |
研究実績の概要 |
本年度は、アミノ酸やビタミンのがん性サルコペニアへの影響を検討した。アミノ酸では、健常人での骨格筋増強作用が報告されているBCAAと、抗酸化作用が報告されているシスチンとテアミンについてCT26大腸癌細胞のBALB/cマウス腹腔内接種による悪液質モデルを用いて検討を行った。BCAA単独では、骨格筋重量は対照群(標準餌)と変化なく(非腫瘍群の約50%)、SDS可溶性ミオシン軽鎖1は軽度増加していた(非腫瘍群の10%)。また、腫瘍重量は対照群と変化がなかった。これに対し、シスチン+テアミンでは、骨格筋重量は対照群の1.4倍に増加しており(非腫瘍群の約75%)、SDS可溶性ミオシン軽鎖1は対照群の7倍(非腫瘍群の約60%)に増加していた。一方、腫瘍重量に変化は認められなかった。さらに、BCAAとシスチン+テアミンの併用を検討したが、骨格筋重量・SDS可溶性ミオシン軽鎖1はBCAA群と同程度でシスチン+テアミンの効果は消失していた。 ビタミンについては、VB2およびVEについて検討を行った。VB2単独では、骨格筋重量は対照群(標準餌)と変化なく(非腫瘍群の約50%)、SDS可溶性ミオシン軽鎖1も対照群(標準餌)と同程度であった(非腫瘍群の約6%)。腫瘍重量は対照群の約60%に減少していた。これに対し、VEでは、骨格筋重量は対照群(標準餌)の1.2倍(非腫瘍群の約70%)、SDS可溶性ミオシン軽鎖1は対照群の2倍(非腫瘍群の約10%)に増加していた。腫瘍重量は対照群の約60%に減少していた。VB2とVEの併用では、VEと同程度の骨格筋重量・SDS可溶性ミオシン軽鎖1の増加が見られ、相乗作用は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までに、脂肪酸、糖についてがん性サルコペニアへの影響を検討し、今年度はアミノ酸とビタミンについて検討を行い、主要な栄養素について検討を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの検討でがん性サルコペニアに有効性が示された、中鎖脂肪酸、糖、シスチン、テアミン、ビタミンEについて併用を行い、その効果を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度末に施行予定であった実験が新型コロナの影響により実施不可能になったため、今年度に施行することになった。必要消耗品については本年度すでに発注済みである。
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