研究課題
小児においては、治療を要する睡眠呼吸障害は2~5%と報告されているが、一般集団を対象とした正確な疫学調査による報告はないため、実際は10%前後との予想もある。近年、睡眠呼吸障害の治療によって学業成績が改善した、注意欠陥多動症(ADHD)様の問題行動が改善したという報告をはじめ、数々の臨床研究の知見が蓄積されているが、小児における睡眠呼吸障害の早期発見・治療の系統的な取り組みは皆無である。以上の経緯から、小児の睡眠状況を把握することを目標として、従来の検査機器とは異なり、睡眠中の小児の行動、体動に左右されない、簡便かつ精度の高い検査機器の開発し、疫学調査を実施した。約700名の児童を対象に睡眠呼吸障害の有病率を調べたところ、約30%程度であることが明らかとなった。また、治療効果についての調査も実施した。一部の小児では、既に本調査後に専門医を受診し、睡眠呼吸障害の改善だけでなく、その併存症である不安症および多動の改善も観察された。