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2020 年度 実績報告書

カエル幼生をモデルにした子宮内ストレスが脳神経系のゲノム構造に与える影響

研究課題

研究課題/領域番号 17K19931
研究機関日本大学

研究代表者

森 司  日本大学, 生物資源科学部, 教授 (60241379)

研究分担者 早川 智  日本大学, 医学部, 教授 (30238084)
鍵和田 晴美  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (40443204)
研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2021-03-31
キーワードカエル幼生 / 脳 / シグナル伝達 / 捕食者誘導
研究実績の概要

捕食の脅威は、動物の進化の原動力となっている。一般に捕食-被捕食の長い歴史的関係から生物はその捕食者に対して有効な適応戦略を手に入れる。一方、気候変動や何かで生物の生息域の環境が変わり、新規な捕食者が出現する事で捕食者-被捕食者相互作用が始まり、生物の進化がスタートする事になる。我々は以前、アフリカツメガエル、Xenopus laevisがサンショウウオの存在下で尾部の筋肉を増強し、遊泳速度を上げることを報告した。一般にアフリカ大陸にはサンショウウオは生存しないことになっている為、アフリカ原産のアフリカツメガエルや熱帯ツメガエルを日本産のサンショウウオに暴露し、その適応戦略をみることは、生物進化の初期を垣間見る事を示す。本研究では日本産のサンショウウオに6時間、24時間、10日間、5日間捕食者に暴露して5日間捕食者を抜いたX, laevisやX, tropicalisの脳だけを丸ごと取り出してRNAを抽出し、遺伝子発現解析を行った。その結果,6時間ではp450が大量に発現し、24時間では脳内に多くの筋肉関連遺伝子の発現が確認された。10日間では酸欠に関与するHif遺伝子が多く発現した。また、5日間の捕食者暴露と5日間捕食者無しの実験では、また多くの筋肉関連遺伝子の発現が確認された。次に、発現した遺伝子をIngenuityパスウェイ(IPA)解析により、単なる遺伝子ではなく、遺伝子のまとまりであるシグナル伝達から脳内を解析したところ、初期の6時間ではほとんどのシグナル伝達が抑制されており、24時間後には、アクチン細胞骨格やCREB経路などの様々なシグナル伝達遺伝子が刺激され、微小管を増加させる事が分かった。その為、オタマジャクシの鼻孔にDiIを挿入し、軸索の伸長の有無を検討したところ、軸索が鼻孔から間脳へと明確に観察され、有意に増加していた。この結果、被捕食ストレスによりXenopus幼生の記憶力や認知力が向上させる適応戦略を取っている事が判った。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Predation threats for a 24-h period activated the extension of axons in the brains of Xenopus tadpoles2020

    • 著者名/発表者名
      Mori Tsukasa、Kitani Yoichiro、Hatakeyama Den、Machida Kazumasa、Goto-Inoue Naoko、Hayakawa Satoshi、Yamamoto Naoyuki、Kashiwagi Keiko、Kashiwagi Akihiko
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 10 ページ: 1-15

    • DOI

      10.1038/s41598-020-67975-7

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2023-12-25  

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