研究課題/領域番号 |
17K19932
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研究機関 | 日本体育大学 |
研究代表者 |
松田 康宏 日本体育大学, 保健医療学部, 助教 (20760200)
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研究分担者 |
小野 弓絵 明治大学, 理工学部, 専任教授 (10360207)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 手技療法 / 筋血流 / 光計測 / 生体医工学 / 脳活動 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,前頭前野の脳活動計測による痛み緩和効果の評価手法と,新たに挑戦する筋血流動態の統合解析により手技療法の「中枢-末梢連関」を明らかにし,手技療法の効果の科学的根拠を明らかにすることである.2018年度では,拡散相関分光法(Diffuse correlation spectroscopy: DCS)の計測時のプローブ間距離の決定や前年度に作製したゴム製のフラットタイプのDCS計測用プローブホルダーを用いて手技療法を施した部位の筋血流の変化について検討した.DCS計測は,近赤外光を体表面から入射し,毛細血管中の赤血球による拡散を受けて再び体表面に戻ってきた赤血球の光子数の検出により血流速度指標(blood flow index: BFI)を算定することから,皮膚の血流動態も含んだプローブ間距離の約1/2の深さまでの血流動態が反映される.したがって,計測する上で皮膚から筋までの距離を確認し,プローブ間距離を決定する必要があった.健常者25名を対象に大腿部後部中央部の皮膚から筋膜までの距離を超音波観察装置にて計測した.平均値は6.76mm,最小値は3.9mm,最大値は11.8mmであった.多くの被験者に対応できるよう光の入射プローブと検出プローブ間距離を30mmとした.これにより理論上皮膚から筋まで15mmの深さまでの計測が可能になった. 健常者18名に協力を得て,DCS計測部位を右大腿部後面中央部に決定し,手技療法前後の筋血流の変化を計測した.手技療法を行った条件では,手技療法前後で明らかな筋血流速度の増加が見られたが,手技療法を行わない条件では筋血流速度の変化は見られなかった.この結果は,手技療法の効果を定量的に評価し科学的根拠を明らかにする第一歩となったと考えられる.これらの成果は投稿論文や学会で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度の研究計画は,大きな変更や問題がなく手技療法を施す目的筋の血流状態の変化を計測するシステム開発に成功している.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は研究計画の予定に沿って手技療法の前後における目的筋の血流状態の変化と脳活動指標から手技療法の効果を評価するシステムの開発に向け研究を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に最適な機器の購入に際し厳正に選定をしているため,2018年度中の購入には至らなかった.2018年度に行ったDCS血流計の検証実験は一部研究分担者の設備を用いて行った.選定が終了次第,次年度中に残りの物品の購入を予定している.
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