研究課題/領域番号 |
17K19933
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
秋本 崇之 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (00323460)
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研究分担者 |
加藤 義雄 国立研究開発法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (20415657)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 糖輸送体 / エネルギー代謝 / 骨格筋 / 筋収縮 |
研究実績の概要 |
インスリンによる血糖の取り込みの不全を意味するインスリン抵抗性は,肥満をはじめとして,メタボリックシンドローム,糖尿病,高脂血症など世界的に顕著な増加傾向にある生活習慣病の根本的な背景メカニズムのひとつと考えられている.現在,臨床ではインスリン抵抗性の治療薬として,インスリン抵抗性改善薬やインスリン分泌促進薬が第一選択となっているが,いずれもすべての患者予後を改善するには至っていない. 一方,適度な身体運動がインスリン抵抗性を改善する事はよく知られており,これは糖尿病等の代謝性疾患患者に対する運動療法の科学的エビデンスとなっている.一方で,身体運動によるインスリン抵抗性改善のメカニズムはほとんど分かっていない. 申請者らはこれまでに,身体運動に起因する物理的刺激が骨格筋に与える影響について検討してきた.この過程において,通常のインスリンシグナル伝達経路と異なるシグナル伝達経路で制御される可能性のあるメカニカルストレス依存性の糖取り込みメカニズムを詳細に検討するためには,生きた骨格筋組織において,糖取り込みをリアルタイムに可視化する技術の開発が不可欠であると考えられた. そこで本研究では組み替え糖輸送体の発現ベクターの試作と機能評価を中心に研究を遂行した. 本研究では,すでに取得済みのmouse GLUT4 cDNAの当該位置にSEPタグ,N-末端側にmCherryを組み込んだ発現ベクターを作製し,培養細胞で蛍光タンパクの発現を確認した.次に,これをマウス筋芽細胞株C2C12より分化させた筋管に導入し,組み替え糖輸送体がインスリン刺激による細胞内動態を検討した.その結果,通常の培養条件では赤色の蛍光が優位であった筋菅細胞がインスリン刺激により,緑色の蛍光強度が増加する傾向を示し,我々が作製した組み替え糖輸送体の発現ベクターが機能的であることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画した実験が順調に進み,予想された成果が出つつあるため.
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今後の研究の推進方策 |
今後はこの組み替え糖輸送体の発現ベクターがin vivoでも機能することを確認するとともに,糖輸送体の細胞膜への移動を指標として,糖取り込みを変化させる化合物等のドラッグスクリーニング系の構築を試みる. また,このシステムを筋収縮による骨格筋への糖取り込み亢進のメカニズム解明に応用する.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の所属機関が使い切りを推奨していないため.
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