研究課題/領域番号 |
17K19934
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研究機関 | 横浜薬科大学 |
研究代表者 |
田辺 由幸 横浜薬科大学, 薬学部, 教授 (10275109)
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研究分担者 |
前田 利男 静岡県立大学, 薬学部, 客員教授 (00137069)
斉藤 麻希 岩手医科大学, 薬学部, 助教 (40365185)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 肥満 / 肥満抵抗性 / ddY系マウス / 高脂肪食 / CD36 / apoA1 / NPC1L1 |
研究実績の概要 |
近交系化したddY-H(H系統)とddY-L(L系統)の♂・♀について、離乳~6週齢まで標準固形飼料(MF)を摂取させたのち、高脂肪餌(HFD、60%kcal脂肪)、低脂肪餌(LFD、10%kcal脂肪)を自由摂取させ、開始時6週齢、9週齢、12週齢迄の体重・摂餌量・耐糖能試験、血漿中のグルコース、中性脂肪、インスリン、レプチン値を測定した。更に、肝、回腸、空腸、各種脂肪組織、視床下部、筋組織の組織全RNAの逆転写・リアルタイムPCR法により、各種遺伝子発現の解析を行った。また、ddY系統のリポタンパク質リパーゼ(LPL)遺伝子多型の既報を確認する為、H系統♂とL系統♂各5個体ずつのLPLゲノム遺伝子の塩基配列を調べた。HFDを摂取させたH系統では♂♀ともに顕著な肥満を呈し、♂が高度の高グルコース、高トリグリセリド、高インスリン、高レプチン値を示したのに対して、♀では高インスリン・高レプチンながら、グルコースおよびトリグリセリド値の上昇は軽微なものに留まった。更に、L系統においては、♂♀ともにHFDに対する肥満誘導に抵抗性を示したが、L系統♀は特に強い肥満抵抗性を示し、12週齢の時点でインスリン抵抗性およびレプチン抵抗性が殆ど生じていなかった。この際、各種遺伝子発現の解析の結果、特に肝組織におけるCD36の低発現およびapoA1の有意な発現上昇が♂♀共通にみられたとともに、6週齢の段階でL系統♀の回腸におけるNPC1L1の発現レベルがH系統♂♀およびL系統♂に比べても低値であった。これらのことから、消化管および肝での脂質取込機構とコレステロール逆転送系における差がL系統の肥満抵抗性に関与しており、性差も存在する可能性がある。なおLPL遺伝子については調べた限り既報のような多型は存在せず、本研究での肥満および肥満抵抗性とは無関係と考えられる。
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