本研究の目的は、子ども向け健康効用評価尺度CHU9Dの日本語版を開発・適用し、多様な小児疾患の健康アウトカム評価と費用対効果分析に応用することであり、それを踏まえて、①CHU9D日本語版質問票の妥当性検討、②日本人の選択的嗜好に基づいたCHU9Dの健康効用値換算表(value set)の作成、③国内で広く使われている子どもQOL尺度PedsQLとのマッピング、④多様な小児疾患・障害への応用、という四つの内容を実施した。
本研究の調査は全国の中高生を対象とする学校調査と一般人口に向けるオンライン調査を含む。海外の研究協力者とともにNgeneを利用して学校調査で利用するBest Worst Scaling(BWS)法の質問セットとオンライン調査で利用するTime Trade Off(TTO)法の質問セットを作成した。学校調査では、学校リストを利用して中学校・高校を無作為に抽出し、対象となる学校に在籍する12-18歳の中学生・高校生1279人に対してBWS法によるアンケート調査を実施した。オンライン調査では日本国内の18-75歳の一般人口に対してTTO質問を一人あたりに計12通答えてもらった。調査結果に基づいてCHU9D日本語版質問票の妥当性を検討した上、健康効用値換算表の作成とPedsQLとのマッピングを行った。応用の試みとして、作成したCHU9D健康効用値換算表(value set)を利用して横浜市の重症心身障害児に関わる現状調査のデータを精査した。
研究成果は近いうちに学会発表と論文を通して公表する見込みであり、多様な小児疾患の健康アウトカム評価と費用対効果分析に応用できるようになる。
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