研究課題/領域番号 |
17K19949
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
菅原 順 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (00357261)
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研究分担者 |
平澤 愛 杏林大学, 保健学部, 学内講師 (30459945)
柴田 茂貴 杏林大学, 保健学部, 教授 (90636474)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 下半身陰圧刺激 / 循環調節 / ベッドレスト / 認知症 |
研究実績の概要 |
ヒトの循環制御機能の生理学研究で用いられている下半身陰圧刺激(Lower body negative pressure: LBNP)を応用した「早期離床を支援するリハビリトレーニングシステム」の開発を進めている。 本年度は、安全性の検証という観点から、下半身陰圧刺激を段階的の増強していった時の血圧反射感受性の変化を検討した。運動習慣のない健常成人 (13名)を対象に、前失神に至るまで段階上昇的に下肢陰圧負荷試験を行った。負荷前後に5分間の一心拍毎の安静時RR間隔(RR)と収縮期血圧(SBP)を測定し、RRおよびSBPの変動を低周波数帯(LF: 0.05-0.15Hz)と高周波数帯(HF: 0.15-0.35Hz)に分け、各帯域におけるパワーを算出し、さらに伝達関数を用いてGainを評価した。その結果、LF-Gain(BRS指標)は有意に上昇することが明らかにとなった(P<0.01)。これは、生体が、模擬重力刺激に対して、血圧を維持し脳血流を維持するための循環制御を行っていると考えられる。 次に、従来の生理学実験で用いられている体性神経系への刺激入力のない条件と、本システムを使用し、体性神経系へ刺激入力を加えた場合の循環応答の違いを比較検討した。健常若年成人13名を対象とし、30mmHgおよび50mmHgの陰圧負荷を加えた時の、血圧、心拍数、脳血流速度(中大脳動脈)、呼気二酸化炭素分圧応答を計測した。平均血圧および心拍数の応答に体性神経系入力の有無における違いは観察できかった。平均脳血流速度は、体性神経系入力がない条件では、平均脳血流速度は低下したが、体性神経系入力を加えることで、平均脳血流速度の低下は減弱した。本知見は、本システム使用時の安全性を担保するかもしれない。
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