研究課題/領域番号 |
17K19956
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
青嶋 誠 筑波大学, 数理物質系, 教授 (90246679)
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研究分担者 |
矢田 和善 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (90585803)
石井 晶 東京理科大学, 理工学部情報科学科, 助教 (20801161)
赤平 昌文 筑波大学, 数理物質系(名誉教授), 名誉教授 (70017424)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 非スパースモデリング / スパイクノイズ / ビッグデータ / 人工知能 / ディープラーニング |
研究実績の概要 |
初年度に当たる平成29年度は、潜在空間とノイズ空間からなるデータ空間において、非スパースなノイズ構造をスパース化するデータ変換法を構築した。非スパースなノイズは、スパイクノイズと非スパイクノイズからなる。青嶋と矢田が開発したノイズ掃き出し法のアイディアを応用して、非スパイクノイズの幾何学的表現を理論的に導出し、その大きさを見積もることで、非スパイクノイズの影響を掃き出してスパイクノイズ構造を浮き彫りにすることに成功した。青嶋と矢田と石井は、スパイクノイズの構造解析を行い、スパイクノイズを無効化するような空間を探索し、その空間にデータを射影する変換を考案した。この変換を施すことで、巨大なスパイクノイズを取り除いて、スパース化されたノイズをもつビッグデータを構築することが可能となる。世の中に広く普及しているスパースモデリングは、特に標本数が十分ではない場合、データにスパース性の仮定が崩れると精度が酷く悪くなる。実際、現実の高次元データは必ずしもスパース性が成り立たず、ビッグデータが有する豊富な情報を抽出できていない事例がしばしば見られる。本研究で開発したデータ変換法は、この問題に根本的な解決を与えるものである。得られた結果は、学術論文として纏められ、既に出版されている。また、台湾で開催された国際学会での招待講演や、日本統計学会賞受賞者記念講演など、国内外で多くの招待講演を行い、大きな反響を呼んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究の目的に沿って、昨今のスパース性に基づいた学術の体系を大きく見直し、ビッグデータに対する非スパースモデリングの開拓を目指した。世界に先駆けて非スパースモデリングの第一歩となる重要な成果が得られ、論文として出版された。シンポジウムも開催し、研究成果について活発な意見交換が行われた。おおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
本課題の集大成として、非スパースモデリング技法を確立し、ビッグデータ解析の今後あるべき道筋を理論と方法論の両面から示して、学術の体系を再構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
招聘予定であった研究者が、都合により、来日を1年延期したため。次年度使用額と当該年度分の助成金を合わせて、平成30年度は研究課題に関する国際シンポジウムの開催を計画している。
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