研究課題/領域番号 |
17K19957
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
須鎗 弘樹 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (70246685)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | スケーリング / 一般化指数関数 / べき分布 |
研究実績の概要 |
当初,ドモアブル-ラプラスの定理の一般化の証明をする予定であり,それについて,概ね終えているが,その過程で,その基礎となる確率空間の構造を明確にする必要が出てきた.通常の確率空間とは違って特徴的な構造を持つであろうと,研究代表者を含む数人の日本人研究者で指摘されていたが,その具体的な構造については,誰も発見できていなかった.この問題について,研究代表者は今までの研究成果から,綺麗な確率構造を最近見つけることができた.現在,これについては,複数の論文を執筆中である.これは,スケーリングを陽に考慮し,かつ,従来の独立性を拡張するものであり,確率構造として,従来の独立な場合を特別な場合として含む.この結果は,確率論に収まらず,測度論にも影響を与える.また,確率論を基礎にして,統計力学,情報理論が成り立っていることから,統計力学,情報理論にも影響を与える.従来の結果と違う重要なポイントは,ただ,一般化指数関数を使って記述しているだけでは無く,スケーリングが陽に考慮されている点である.(一般化指数関数を使って記述することよりも,スケーリングが陽に考慮されている点の方が遙かに重要であると,研究代表者は考えている.)なお,この発見は,研究代表者以外には誰も気付いていないと思われる.実際,2018年3月末に,マックスプランク研究所(ドイツのライプツィヒ)で開かれた国際会議(GSO2018)で,この分野の特に数学に強い研究者が集まって討議されたが,これに気づいている研究者はいないことが確認できた.(研究代表者も,この会議で口頭発表したが,その時点では論文が未発表であったため,何も言及しなかった.)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一般化二項分布からドモアブル-ラプラスの定理の一般化の証明をする過程で,重要な副産物である確率空間の構造が明確になった.これはスケーリングを陽に考慮した確率空間であり,今のところ,この具体的構造について誰も気づいていない.この発見は,当初の計画にはなかったが,確率論,測度論,統計力学,情報理論などの,純粋数学から数理物理までに大きな影響を与える発展であると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今回見つけたスケーリングを陽に考慮した新しい確率空間を元にして,確率論,測度論,統計力学,情報理論など分野における重要な諸定理を証明,定式化していく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
本科研の決定通知が6月末であったため,主要な国際会議などの締切が過ぎており,発表申込みできなかった.現在使用中のpcが古くなりつつあるので,申請時に記載したように,今年度,新規に購入予定である.また,来年度(平成31年度)前半に,千葉大学のサバティカル制度を利用して,本研究計画の遂行のため,オーストリアにて在外研究をする予定であり,その旅費と滞在費に使いたいと考えている.
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