研究課題/領域番号 |
17K19957
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
須鎗 弘樹 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (70246685)
|
研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
|
キーワード | Tsallisエントロピー |
研究実績の概要 |
2018年度については,本研究課題について,具体的に,論文発表ならびに学会発表などの研究実績を挙げることができなかった.その大きな理由については,2017年度までの理論的な研究で,Tsallis統計(異常統計を表す理論体系の典型例)の確率分布に必然的に入れざるを得なかった任意定数のパラメータCの適切な解釈ができていなかったためである.(このパラメータCを入れないと,確率分布としての要件を満たさないので,入れざるをえない.)これは,Tsallis統計の数理構造に深く関わることはわかっていたが,研究代表者ぐらいしか気づいておらず,数理の根幹の部分から,慎重に考える必要があった.これについて,長期にわたる試行錯誤の考察の末,2019年1月ごろに,概ね,筋の通る理論展開ができることがわかった.これは,従来のTsallis統計の数理構造に若干の修正と追加が必要な話であり,2019年3月中に,論文をまとめるはずであった.しかし,コース長などの複数の役職の多忙さも相まって,2018年度内にまとめる時間をとることができなかった.研究の時間を十分とるために,2019年度の4-9月の半年間,サバティカルで海外に滞在して,複数の論文にまとめる予定である.結局のところ,Tsallis統計の中心的な概念である,Tsallisエントロピーに若干の追加修正が必要になる.また,Tsallis統計に頻出するパラメータqの果たす役割などについても明らかになり,Tsallis統計における,いくつかの極限定理の定式化に有益であることが分かった.これらは,2019年度前半には,論文として投稿予定である.なお,本研究分野の特性ならびに研究代表者の経験上,本分野では,重要な結果が公表されると,その応用の激しい競争になり,結果の公表に慎重になる必要があった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
以前の研究結果で出ていた課題が,理論の根幹にかかわる部分であり,解決に時間がかかったためである.2018年度末には概ね解決でき,2019年度中には論文化する方針である.
|
今後の研究の推進方策 |
2019年度の4-9月の半年間,海外でのサバティカル滞在の機会を得ることができたので,この期間に本研究に集中し,2018年度末に解決した問題について,論文化する予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究成果が出ていなかったことと発表に慎重になっていたことが大きな理由であるが,2019年度4-9月の半年間,サバティカルで,本研究課題に関する共同研究で,海外の研究所に長期滞在する予定であり,その間に,論文発表する予定である.
|