• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

群分子ロボットによる学習

研究課題

研究課題/領域番号 17K19961
研究機関東京大学

研究代表者

萩谷 昌己  東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (30156252)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2021-03-31
キーワードDNAコンピュータ / 分子ロボット / 群ロボット / 自己組織化 / 機械学習
研究実績の概要

令和元年度では、パターン形成による学習のための基礎として、平成30年度に行ったゲルオートマトンによるパターン形成に関する研究を完成させた。迷路、距離2彩色、全域木の各問題に対して、自己安定なゲルオートマトンを設計した。特に、平成30年度と比べて、より効率よく迷路の解を求めるゲルオートマトンを設計することができた。また、ゲルオートマトンの自己安定性の証明に関しても、厳密かつ見通し良い手法を確立させ、実際に上記のゲルオートマトンの自己安定性を証明した。
平成28年度(予備研究)および平成29年度に開発した分散アルゴリズムをゲルオートマトン上で実現することを目指し、これらの分散アルゴリズムを拡張して、3次元セル空間において論理回路を学習させることを試みた。3次元立方格子の各格子点に論理ゲートを配置する。論理ゲートはその状態によりANDゲートもしくはORゲートとして動作する。格子点を結ぶエッジは、結線、否定ゲートによる結線、非結線の三状態を取る。立方体の一つの頂点の近くの格子点に入力を配置し(立方体を斜めに切る)、その反対に位置する頂点の近くの格子点に出力を配置する。論理回路上の信号は入力から出力に向かって流れ、学習のための信号は逆に流れる。以上の枠組みで、教師あり学習の分散アルゴリズムを定式化し、3次元立方格子内に回路が構成されることを確認した。さらに、シミュレーション実験により全加算器の学習に成功した。
上記の分散アルゴリズムは、何らかの化学的な勾配を想定して、信号の流れる方向を規定している。また、大域的な化学反応を想定して、すべての格子点に同時に情報をブロードキャストする仕組みも用いている。
教師あり学習から強化学習への展開については、特に上記の分散アルゴリズムに対して検討を進め、具体的な方法を構想した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ゲルオートマトンによるパターン形成は、本研究の主要なテーマの一つであり、昨年度に多くの成果を得ているが、(特に外乱が起きた場合の)パターン形成の効率が悪く、自己安定性の証明が十分に厳密に行われていなかった。本年度は、このテーマの研究を継続して進め、十分な成果を得ることができた。
パターン形成による学習に関しては、セルオートマトンと同様の3次元セル空間において、論理回路の教師あり学習のための分散アルゴリズムの定式化とシミュレーション実験を行った。この計算モデルは、化学的な勾配を仮定するとともに、大域的な化学反応を活用している。したがって、本研究の趣旨に沿った計算モデルとなっており、そのもとで論理回路の教師あり学習に成功した。
強化学習についても検討を進め、具体的な方法を構想した。

今後の研究の推進方策

令和元年度では、パターン形成による学習に関する研究を進め、特に3次元セル空間において、論理回路の教師あり学習のための分散アルゴリズムの定式化とシミュレーション実験を行った。
上記の学習アルゴリズムは、ゲルオートマトンによる実現を目指して、セルオートマトンと同様の3次元立方格子の上で定式化されているが、まだ具体的なゲルオートマトンによる実装にまでは至っていない。そのためには、勾配や大域的反応を加味したゲルオートマトンを定式化する必要がある。
また、強化学習についても、具体的な方法を構想したが、シミュレーション実験等は行っていない。
以上の研究を進めるとともに、研究成果の学会発表や論文投稿なども行うために、1年間の延長を行って研究を継続する。
昨年度も既存設備で十分であったが、大規模のシミュレーション実験を行うために、コンピュータを増強することも検討する。

次年度使用額が生じた理由

令和元年度では、パターン形成による学習に関する研究を進め、特にセルオートマトンと同様の3次元セル空間において、論理回路の教師あり学習のための分散アルゴリズムを定式化とシミュレーション実験を行った。したがって、当初の計画を十分に達成したと考えられるが、強化学習とゲルオートマトンによる実現方法の研究を本格的に進めるとともに、研究成果の学会発表や論文投稿なども行うために、1年間の延長を行う。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Turing-Completeness of Asynchronous Non-Camouflage Cellular Automata2020

    • 著者名/発表者名
      Tatsuya Yamashita, Teijiro Isoka, Ferdinand Peper, Ibuki Kawamatad, Masami Hagiya
    • 雑誌名

      Information and Computation

      巻: 出版予定 ページ: 未定

    • DOI

      10.1016/j.ic.2020.104539

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Self-stabilizing Gellular Automata2019

    • 著者名/発表者名
      Tatsuya Yamashita, Akira Yagawa, Masami Hagiya
    • 雑誌名

      UCNC 2019: Unconventional Computation and Natural Computation, Lecture Notes in Computer Science

      巻: 11493 ページ: 272-285

    • DOI

      10.1007/978-3-030-19311-9_21

    • 査読あり
  • [学会発表] Self-stabilizing Gellular Automata2019

    • 著者名/発表者名
      Tatsuya Yamashita, Akira Yagawa, Masami Hagiya
    • 学会等名
      International Conference on Unconventional Computation and Natural Computation
    • 国際学会
  • [学会発表] 自己安定ゲルオートマトンについて2019

    • 著者名/発表者名
      萩谷昌己, 矢川晃, 本宮泰河
    • 学会等名
      人工知能学会合同研究会ナチュラルコンピューティング第33回研究会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi