研究課題/領域番号 |
17K19965
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
斎藤 隆文 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60293007)
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研究分担者 |
高橋 時市郎 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (50366390)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 形状処理 / コンピュータグラフィクス |
研究実績の概要 |
本研究は,物体表面に見える反射・透過像を能動的に制御するための理論や方法論を,総括的に構築することを目指すとともに,実物の作成実験によりその適用効果を検証するものである.具体的には,微細な幾何構造での透過と遮蔽で生じるモアレや,曲面の鏡面反射で生じるハイライトや映り込み像に関して,それぞれの動き制御理論の確立を目指している. 本年度は,このうち,透過と遮蔽のよる像(モアレ)の動き制御を集中的に行った.また,これと並行して,様々な対象に関して実物とCGの見え方に関する研究を進めた.以下に成果を示す. 1.モアレの動き制御理論の検討ならびに実体作成実験: 格子縞などの2 次元微細幾何構造を2 層に重ねた場合に生じる各種モアレについて,モアレ縞の生じ方や動き方を解析した.微細構造の位相設定により,モアレ縞を任意の方向に動かすことができることを確認した.その上で,2層のうちの一方のコントラストを場所によって変化させることで,モアレを任意の範囲で局所的に生成させる手法を提案した.これらを組み合わせることで,回転,渦,収束,発散,落下,波など,従来のモアレにはない種々の動きの生成に成功した.CGシミュレーションのみならず,透明シートに印刷して効果を確認できた. 2.実物とCGの見え方に関連した種々の研究: 物体やCG画像が微細構造をはじめとする様々な要因により,一部が強調されて見える現象や,本来の形状や動きと違う見え方をする現象の解明,ならびにその応用に関して,種々の研究を進めた.ユーザの好みを反映できる絵画風画像生成インタフェースや,不可能図形の新しい表現手法などの成果が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画のうち,モアレの動き制御理論に関しては,基本的な動きの解明のほか,従来のモアレにはない種々の動きの生成に成功している.さらに,実物作成実験においても効果を確認しており,ほぼ計画どおりに進展している.また,実物とCGの見え方に関連した各種研究において,いくつかの成果が出ている.
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今後の研究の推進方策 |
研究の方向性としては,おおむね当初計画に沿った方針で進める.モアレの動き制御理論に関しては,コントラストや動きの見えやすさの向上と評価,効果的な応用の創出,他の微細構造を用いた方式の検討などを中心に行う.また,曲面の鏡面反射で生じるハイライトや映り込み像に関して,本格的に取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 表面微細形状作成実験用の機器購入および国際会議での調査・発表のための旅費について,一部が研究進捗の都合で執行が遅れた. (使用計画) 上記に関して,次年度前半に執行を予定している.
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