研究課題
平成31年度は、平成29年度と30年度に行った研究の成果を発展させ、一般的な論理関数を光デバイスによって実現する光論理回路の低消費電力化手法と光ニューラルネットワークのアーキテクチャを考案した。平成30年度に行った研究で明らかにしたとおり、光論理回路は非常に高速である反面、二分決定グラフを直接的に光デバイスで実現すると光源が消費する電力は入力変数の数の指数オーダーとなる。そこで、光論理回路を適切に多段化することにより、光源が消費する電力を入力変数の数の指数オーダーから多項式オーダーに低減する手法を開発した。この手法により、光論理回路の消費電力を既存のCMOS論理回路と同程度に保ちつつ、遅延性能はCMOS論理回路のおよそ3倍程度に向上させることができることを明らかにした。さらに、光スイッチを用いたニューラルネットワーク回路アーキテクチャを幅広く調査し、特徴を整理した。代表的な光ニューラルネットワークアーキテクチャはMITの研究グループが開発したMIT型とPrinceton大学が開発したPrinceton型の2種類に大別できることを明らかにした。MIT型は、マッハツェンダ干渉計を格子状に配置して超低遅延推論を実現する。Princeton型は、リング変調器によるアナログ乗算器と光受光器によるアナログ累算器を組み合わせることにより小面積な光回路で推論処理を実現する。本研究課題では、MIT型でもPrinceton型でもない新たな光ニューラルネットワークアーキテクチャを考案し、光回路シミュレータによりその有効性を明らかにした。これらの研究成果は国内外の会議で発表した。
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IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences
巻: E102.A ページ: 1751~1759
https://doi.org/10.1587/transfun.E102.A.1751