本研究は,クロマルハナバチから飛翔筋活動電位情報を取得し,昆虫実装型マルチコプタを構築することを目的とする.クロマルハナバチがマルチコプタを新たな身体として拡張(拡張ボディイメージ)して認識し,適応能力を発現する自立型飛行ロボットを実現する.クロマルハナバチが本来有する固有のパーソナルスペースに基づく障害物回避能力を,クロマルハナバチの生体と比較して大きいマルチコプタ上に搭乗した状態で発揮できるかどうかを検証する.身体のイメージを拡張できるかどうかを生体-機械融合システムを採用することで明らかにする.対象昆虫をクロマルハナバチとする. 本研究によって,生体機械融合システムの実現に関わる工学的成果のみならず,昆虫の生態学的な,また生体力学的な理解を深めることができることも期待される.これまでで、飛翔筋活動電位の活用がクロマルハナバチの左右旋回飛翔の弁別に有用であることが明らかとなった. 本年度には,前年度の結果をより高精度にするための工夫を行った.前年度においては,左右旋回飛翔の弁別のために使う情報として,飛翔筋の活動電位のみを利用していた.これに対して,本年度においては,飛翔筋活動電位の時系列における波形自体の比較も行うことで,弁別精度の向上を試みた.また,最終的に飛翔筋活動電位の情報をもちいてマルチコプタのリアルタイム制御を行うために,弁別をリアルタイムに行う方法の検討も行った.飛翔行動の検証をトルクセンサによる応答もあわせて整合性の検証も行った.
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