研究課題/領域番号 |
17K19982
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
来嶋 秀治 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (70452307)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | アルゴリズム理論 / 分散計算論 / 自律分散ロボット |
研究実績の概要 |
分散計算論は,小さな計算(局所計算)を統合して全体を計算するための理論である.分散計算において,環境の変化(うごき)は本来回避して制御すべき対象であるが,本課題では,逆に「うごき」を計算に積極的に取り込み,安心(計算頑強性の高い)・便利(開発・計算効率の良い)な分散アルゴリズム設計の理論の構築を目指す. 「うごき」による計算の原理究明を動機として,古典的な計算可能性理論との類比による「うごき」の計算可能性に取り組み,有視界無記憶ロボットによる中点発見問題の可解性の研究を進めている.この問題は有視界無記憶ロボットが境界領域の一部しか把握できない状況で,目的の地点を見つけることができるか否かを問う.有視界自律分散ロボット群による計算可能性は,無限の視界の場合と比べて未解決の問題が多く,困難性の原因が良くわかっていない.この困難性の原因究明を動機とし,線分上で1台のロボットが最近端点までの距離を測りながら中点を探す問題にまで単純化し,この状況での計算可能性について研究を進めている.昨年度までの研究で線分の長さが有理数や代数的数の場合など,可算無限の場合の可解性しかわかっていなかったが,カントール実数の補集合のような非可算無限の場合の可解性を示した. また,モジュールロボットによる探索問題に取り組んだ.探索可能性/不可能性に関して,対称性などを考慮して探索可能最小台数の結果を得た.この成果を国際会議で報告し,best paperを受賞した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モジュールロボットなどの自律分散ロボットの計算可能性に関する研究に取り組み,いくつかの成果を得た.また,有視界自律ロボットの中点発見問題を通じて,うごきを計算に取り入れる仕組みについても研究を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
自律分散ロボットの計算論を中心に,「うごき」が計算にもたらす効果について,3次元中の自律分散ロボットや有視界ロボットの計算可能性などの研究を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
残金は現在進行中の研究成果の国際会議発表などに用いる.
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