研究課題/領域番号 |
17K19985
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
伊藤 勇太 東京工業大学, 情報理工学院, 助教 (10781362)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 頭部搭載型ディスプレイ / HMD / 光学遮蔽 / 網膜投影 / 奥行き |
研究実績の概要 |
光学シースルー頭部搭載型ディスプレイ(Optical See-Through Head-Mounted Display,OST-HMD)を用いた拡張現実感(AR)応用において、知覚的に整合する光学遮蔽を生成する、小型化可能なOST-HMD の実現に向けて、今年度は下記の進捗があった。 明瞭な光学遮蔽を実現するための遮蔽補償処理の理論を検討し、遮蔽補償機能を有した試作システムを作成・評価した。試作システムはOST-HMDの眼前に透過型の液晶ディスプレイ(LCD)と同軸光学系を組み込んだシステムである。HMD本体にLCDと背景カメラを取り付けることで、原理的に小型化が容易な設計であることを示した。光学遮蔽が眼前に置かれることで遮蔽がボケるため、これを打ち消す補償処理を組み込んだ。具体的には、目の瞳孔径によってどのようにボケるのかを解析し、ボケ量に応じた補償画像を背景画像から生成、OST-HMDに投影することで、明瞭な光学遮蔽を生成することを目指した。実際光学遮蔽の質を評価するため、視点カメラを用いて光学遮蔽の計測を行った結果、知覚的にボケが見えない、明瞭な光学遮蔽を実現できることが確認できた。成果はトップ国際論文誌に掲載され、トップ国際会議にて発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初期計画通り遮蔽補償処理の手法を提案し、LCDによる遮蔽マスクを実装したOST-HMDシステムを試作することができた。一方で遮蔽マスクが明瞭に生成できるための焦点距離が限定される、背景の奥行情報の活用が限定的である、などの制限が存在するが、これは予定通り来年度での検討項目である。全体として、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、背景の奥行きに応じた遮蔽補償処理や、提案した補償処理の焦点距離に依存しない網膜投影型のOST-HMDへの統合等を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
12月に代表者の所属大学の異動という変則な事態が起き、設備購入の手配が滞ってしまったため。次年度使用額に関しては、来年度に向けて今年度手配できなかった網膜投影系の光学部品の発注に充てる予定である。
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