本研究では,これまであまりディジタル活用されていない「風」を情報源とするインターフェイスの開発を行う。提案する風の検出インターフェイスは,風の強弱を2次元的にセンシングするエリアセンサ及び,その入力結果を用いてインタラクションを行う投影システムからなる。風の検出機構には,風を受けるフィルムの先端に取り付けた磁石の動きを磁気センサを用いて計測し,磁界の変化を風量に換算する。この検出機構を格子状に並べ,各センサの値を2次元分布として検出するものである。本研究では,このインターフェイスの風の検出特性や投影システムとしての定量的な評価を行い利用の拡大を目指す。 これまでに,磁気センサとフィルムを用いて縦24列×横32列の計768個の検出機構を配置して各センサ当たり12ビットでディジタル化された磁界強度を毎秒30回取得できるセンサシステムを作成し,風の動きを2次元平面分布としてリアルタイムに取得できている。 風の検出特性を明らかにするためにフィルム面の当たる風速と出力値の関係を明らかにする実験を行った。本予算で購入した多点式風速計により複数点の風速及びその出力値を計測することで,風速と出力値の関係をモデル化し風速を算出することでより精度の高い補正を行うことが可能となった。 また,ソフトウェア面では,センサからの出力を活用できるようにライブラリ化を行い,アプリケーションの開発に利用できるようになっている。投影システムでは,センシングエリアに重ねるように風の通過するスクリーンを設置し,風の入力に応じて映像が変化するインタラクションシステムとなっている。また,計測した風速が通過した後の3次元的な風の振る舞いをシミュレーションしアプリケーションに活用している。
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