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2017 年度 実施状況報告書

身体性を超えた運動記憶と共感の獲得に関する脳内基盤の解明:超身体性脳科学の萌芽

研究課題

研究課題/領域番号 17K19992
研究機関筑波大学

研究代表者

井澤 淳  筑波大学, システム情報系, 准教授 (20582349)

研究分担者 葛岡 英明  筑波大学, システム情報系, 教授 (10241796)
今水 寛  東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (30395123)
研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2019-03-31
キーワード計算論的脳科学 / 身体性認知
研究実績の概要

これまでに身体性システム科学が明らかにしてきたのは、我々の認知や意識が身体図式に基づいて処理されており、意識下の身体イメージ変容が意思決定や情動に拘束条件となって現れるような我々の持つ認知メカニズムの階層性である。したがって、目的指向的な工学では我々の情動や意識を身体性から解放し統制可能にすることである。本研究の目的は計算論的神経科学の成果に基づき、身体運動記憶の表現に着目することで、身体性によらない意識や情動を導くシステムの設計原理を提供することである。
29年度は、理論の構築と計算論的モデルの定式化を行った。身体が動作を行う際に脳内に表現す身体図式や環境ダイナミクスのパラメータを感覚経験により逐次更新することで運動企図に従って運動が実行が可能になる、脳の適応性を、運動制御・学習に関する計算論モデルとして構成した。さらに、バーチャルリアリティ経験に関する生成モデルを構築し、バーチャルリアリティ経験における身体性変容・身体意識変容の本質が多感覚統合の原理としてベイズ推定の枠組みを用いて定式化できることを明らかにした。一方、運動を伴うバーチャルリアリティ経験には、運動指令と視覚入力変化に関する因果律推定も問題が伴うことを示すために、生成モデルを構築した。そして、因果律推定原理を応用することにより、身体性表現の切り替えを導くことが可能であることを示した。また、このような操作がロボットマニピュランダムを用いた運動学習課題によって実現可能であることを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Unityをと用いたVRシステムの構築が完了した。ユーザー(実験参加者)の身体運動に応じて、VR環境内のアバターを実時間で制御することができる。身体運動データを計測するために、これまでに構築したロボットマニピュランダムから計測したデータをソケット通信で実時間でVRシステムへ転送するシステムを構築した。これにより、任意の力学的環境の中において身体運動を行い、これをVR空間内で経験することのできるシステムが感性した。また、運動記憶獲得に関する計算論的モデルを構築し、VR空間において獲得される運動記憶の表現に関して検討した。また、共感疼痛の実験系を構築した。以上より、研究は概ね順調に進捗している。

今後の研究の推進方策

30年度は、29年度に構築したシステムを用いて心理物理実験を実施する。この際、VR空間内における自身の運動学習が、どのように被験者の認知に影響を与えるかを検討し、運動記憶表現における身体性の関わりと、視覚刺激の統制による身体性からの離脱に関して検討する。ロボットマニピュランダムを用いて新奇の環境を実験参加者へ呈示する。実験参加者はこのような環境において運動を繰り返し練習することによって、呈示された環境の内部モデルを構築する。このような運動学習課題中に身体と環境に関わる視覚刺激を統制し、脳内身体表現に変容を導き、このような身体表現の変更が運動記憶にたいしてどのように影響を与えるかを検討する。加えて、身体性に関する研究で用いられている認知課題に加えて、共感疼痛を計測することで、身体性の問題を定量化する。以上より、身体性を通じて情動と認知を定量化し、情動と認知における身体性の影響と離脱に関して定量的に検討を行う。以上より、認知と情動が身体性を離脱する条件を導く。

次年度使用額が生じた理由

MRI実験を行う際に実験補助者を雇用することを計画していたが、予備実験の結果、必要性が認められなかったため、雇用しなかった。
次年度は実験回数と被験者数の増加が見込まれるため、被験者謝金として使用する。

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公開日: 2018-12-17  

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