研究課題/領域番号 |
17K19994
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
倉橋 節也 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (40431663)
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研究分担者 |
吉田 健一 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (40344858)
津田 和彦 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (50302378)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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キーワード | 教育システム / シミュレーション / 家族システム |
研究実績の概要 |
本年度は、イノベーションを生み出すような組織内コミュニケーションのあり方、および情報や知識を用いて付加価値を生み出す組織内および組織外のネットーワークについて研究を実施した。これらは、科挙受験者、移住者(華僑)、移住者間や国境を超えた家族間での情報・知識伝達ネットワークの解明を進める上で、重要な手法となるばかりではなく、現代社会との比較データとしても使用できるものである。 1)イノベーションを生み出す組織内コミュニケーション:フリーアドレス制度を導入した企業を対象に, 従業員の位置情報データか ら様々な仕事の仕方を特徴量抽出し, それがパフォーマンスとどう関連しているかを探る ことで, 職場環境の自由度と従業員のパフォ ーマンスを増大させるモデルを検討した。仮説として、フリーアドレス制度をうまく利用して, 他部門の従業員とのコミュニケーションが活発な従業員はパフォーマンスが高いこと、会議室でのコミュニケーシ ョンよりも, 簡易的な打ち合わせエリアでのコミュニケーションの方が, より従業員のパ フォーマンスを高めること、を仮定した。データ収集および分析結果から、簡易的な打ち合わせエ リアでの次数中心性が高いとパフォーマンスも高まるという結果が得られた。 2)情報や知識を用いて付加価値を生み出す組織内および組織外のネットーワーク:小規模な企業における、情報や知識を用いて付加価値を生み出すナレッジワーカーと呼ばれる社員を対象に、個人のパフォーマンスに影響を与える社内外ネットワークの効果について検証を行った。分析結果から、チーム内および社内相談ネットワークの関係性が密な凝集的紐帯であることが重要であること、ランチレイヤーの次数中心性の影響が最も大きいことから、特にチーム内のインフォーマルなつながりが重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で、東南アジアなどでの一次資料・二次資料データの取得が出来ないため、分析がストップしている。代替案として、国内における企業内従業員ネットワークの分析に取り組み、比較分析のための研究とアプローチ法に関する研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度作成したシミュレータ用のデータ同化モデルを、更に精緻化する予定である。今年度は実数値遺伝的アルゴリズムを用いたモデルパラメータを同定するモデルを拡張し、実社会で観測されたデータを用いてモデルパラメータを決定する。これらの手法を用いて以下の研究を行う予定である. 1)華僑教育モデルの構築:知識教授モデルの構築を行い、適応学習を伴うネットワーク型の教育シミュレーションによって、知識伝搬学習環境の効果を検証する。シミュレーションモデルは、内部ネットワークとソーシャルネットワークを実装する予定である。 2)感染症モデルの拡張:感染症を対象としたシミュレーションモデルを構築しており、それらを人の移動が広範囲・高頻度で発生する華僑社会での人的・経済的影響の拡散現象に着目し、可能な政策変数をどのように操作してきたのかを推定する。華僑移民の流れを解明する上で政策立案や政策決定者の意思決定を解明することを目的としたゲーミング・シミュレーション環境を構築し、実際の教育システムの効果分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症により、海外での調査ができなくなったため。
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