研究課題/領域番号 |
17K19997
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
廣瀬 通孝 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (40156716)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | Pseudo-haptics / バーチャルリアリティ / 触力覚提示 / アバタ / 姿勢 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,指先などの物体と身体が接触する身体パーツの姿勢だけでなく,全身の身体姿勢の見えに適切な補正を加えることで,複雑な触力覚提示装置を用いることなく自由空間で任意の身体部位への擬似触力覚提示が可能な新規手法を実現することである.この手法を利用し,VR環境下での全身動作において強い擬似触力覚提示を全身の任意位置に提示可能な手法を実現し,その性能や適用限界を明らかにするとともに,VR環境での物体操作性の向上や,VRを利用した動作改善・トレーニング効果向上手法等への利用に結びつけることを狙う. 本年度は,基本的なアルゴリズムを構築し,バーチャルリアリティ環境においてエンドエフェクタだけでなく途中の関節についても関節角を変えて見せることで,強い深部感覚操作を実現しつつ違和感を低減させる手法を構築した.手で物体に触れる際などに,自身の腕関節の手首関節・肘関節の角度を同時に変調させることで,一定の擬似抵抗感を生じさせつつ,各関節での相対的な角度差を小さくすることによって違和感を低減させる.この複合的な補正手法の有効性を示すため,手首関節のみを補正する手法・肘関節のみを補正する手法との主観的抵抗感や,主観的な違和感・身体所有感の比較を行った.その結果,力場環境下において求めた感覚強度を用いた抵抗感・違和感・身体所有感の比較実験では,75%弁別閾・87.5%弁別閾において被験者に十分に大きい抵抗感を感じさせることができず,アンケート指標に差はあらわれなかった.一方で末端変位量が最大100[mm] となる角度補正量では,提案手法の違和感指標に有意な減少が見られ,ユーザが擬似触力感を感じることができる角度補正量では,複合補正手法が違和感低減に有効であることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに進んでいるため.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き触力覚提示効果を向上させるためのパラメータや補正手法の改善に取り組むとともに,この手法による触力覚提示をスポーツトレーニングやリハビリテーション等に応用する方法論についても検討を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
基本的なアルゴリズムについて,少人数の心理物理実験によって十分な性能評価がおこなえた.そのため次年度に発展的なアルゴリズムの構築・評価をおこなうとともに,トレーニング等の実践的なアプリケーションにおける活用と評価を重点的におこなうことを考え,そうした実験準備・実験実施のために次年度に重点的な予算配分をおこなうために次年度使用額を設定した.
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