研究課題/領域番号 |
17K19997
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
廣瀬 通孝 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (40156716)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | Pseudo-haptics / バーチャルリアリティ / 触力覚提示 / アバタ / 姿勢 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,指先などの物体と身体が接触する身体パーツの姿勢だけでなく,全身の身体姿勢の見えに適切な補正を加えることで,複雑な触力覚提示装置を用いることなく自由空間で任意の身体部位への擬似触力覚提示が可能な新規手法を実現することである.この手法を利用し,VR環境下での全身動作において強い擬似触力覚提示を全身の任意位置に提示可能な手法を実現し,その性能や適用限界を明らかにするとともに,VR環境での物体操作性の向上や,VRを利用した動作改善・トレーニング効果向上手法等への利用に結びつけることを狙う. 平成30年度は,身体の見た目のリアリティが知覚に影響を与えうるかについて検証をおこなった.その結果,身体のサイズに応じて物体の知覚が変化するBody-based Scalingの効果が,人間に近いリアルな見た目の身体を使うときには強く現れるものの,抽象度を上げてボーンだけの身体や板状の身体を使った場合にはその効果が薄れもしくは起こらないことを明らかにした.この成果はIEEE VR 2019において報告された.また,身体所有感と性格特性の関係を示した先行研究から着想し,擬似触力覚提示の効果の個人差について,個人の性格特性との関わりを調査する研究をおこなった.その結果,Locus of Control(統制の所在)尺度のうち内的統制が高いほど擬似触力覚が生じやすい傾向があることを明らかにした.この知見を元に,性格特性に応じて適切な議事色力覚提示パラメータを設計することを提案している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
擬似触力覚提示手法に関しては計画通りに実装が進んだ.擬似触力覚提示の効果の定量評価,特に個人差の捉え方について新しい知見が得られたため,この点にフォーカスして研究計画を変更している.
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今後の研究の推進方策 |
擬似触力覚提示の効果の個人差について,研究期間中に個人の性格特性との関わりがあることを示す研究が発表された.これに伴い,本研究でおこなってきた実験に性格特性調査を加えてデータを再取得・再整理し,性格特性との関連をふまえた検証をおこなうよう計画変更をおこなった.これにあたり,次年度に多くのデータ取得・解析とこれを踏まえた効果的な擬似触力覚提示手法を構築するため,1年の研究期間延長をおこなう.
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次年度使用額が生じた理由 |
擬似触力覚提示の効果の個人差について,研究期間中に個人の性格特性との関わりがあることを示す研究が発表された.これに伴い,本研究でおこなってきた実験に性格特性調査を加えてデータを再取得・再整理し,性格特性との関連をふまえた検証をおこなうよう計画変更をおこなった.これにあたり,次年度に多くのデータ取得・解析とこれを踏まえた効果的な擬似触力覚提示手法を構築するため,1年の研究期間延長をおこなうこととした.主に実験実施と改良手法の構築に次年度使用額を利用する.
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