研究実績の概要 |
1. 脳活動パターンからの時間長の解読 右下頭頂小葉の活動パターンからヒトの時間経験を解読できること、さらにこの脳領域の活動から実験参加者の時間弁別精度を予測可能であることを示した研究について、さらなるデータ解析を行った。当初は、視覚刺激が消滅する時点(オフセット)での脳活動に注目していたが、追加解析ではさらに刺激呈示時(オンセット)の活動の解析を行い、右下頭頂小葉で時間長情報を解読できる理由が関心領域全体の活動レベルの変化によるものではないことなどを示した。これらの追加解析の結果などをまとめてCommunications Biology誌に論文を再投稿し、査読を経て受理、12月に出版された(Hayashi et al., 2018 Communications Biology)。
2. 主観的時間長の変容と右下頭頂小葉の活動変化 時間長への順応によって引き起こされる主観的時間の伸縮(時間残効)が、右下頭頂小葉の活動の変化と関連することを示した研究について、さらなるデータ解析を行った。時間長への順応による活動変化が見られた右下頭頂小葉と左中後頭回および右中後頭回の3領域について、活動変化量の個人差が領域間で相関するかを検討した。その結果、右下頭頂小葉の活動変化は右中後頭回および左中後頭回とは独立であることが示唆された。一方、右中後頭回および左中後頭回の活動変化量には強い相関関係が見られた。これらの解析結果も含めて論文としてまとめ、国際学術誌に投稿し、現在査読中である(Hayashi and Ivry, under review)。
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