研究実績の概要 |
研究代表者は2018年に、イタリアの研究グループと共同で、短い時間長から長い時間長に選択的に応答する脳領域が補足運動野の前方から後方に空間的に配置されてることを示している(Protopapa, Hayashi, et al., 2019 PLoS Biology)。そこで今年度はさらに共同研究を進め、下頭頂小葉と補足運動野においてそれぞれ同じ時間長に対して選択的応答を示す脳領域(ボクセル)の間に機能的結合が見られるかを調べるため、時間弁別課題遂行中のfMRIデータの解析を行った。その結果、同一時間長に強く応答する下頭頂小葉と補足運動野のボクセル間で、異なる時間長に応答するボクセルとの間に比べて強い機能的結合があることが示された。本研究結果は論文としてまとめ、bioRxivにプレプリントを投稿した(Protopapa, Hayashi, et al., 2020 bioRxiv)。
また、研究代表者らは昨年度(2020年度)、右下頭頂小葉の活動が主観的時間を反映していることを明らかにした論文をThe Journal of Neuroscience誌に投稿しており、今年度(2020年度)に改訂を行ったのち、受理・出版された。今年度はさらに、この発見がどの程度一般化できるかを明らかにするため、実験を行った。単一の刺激の継続的な呈示時間として示される時間長(filled interval)と、複数の短い刺激の間隔として示される間隔時間(empty interval)を表現する神経基盤の異同を明らかにするために脳機能イメージング実験を行い、現在も引き続きデータを収集している。データ収集が完了次第、解析を行う予定である。
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