研究課題/領域番号 |
17K20009
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
倉田 博之 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (90251371)
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研究分担者 |
坂井 宏旭 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部), 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部), 研究員(移行) (10707037)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | バイオ統計 / せき損 / 重回帰解析 |
研究実績の概要 |
脊髄損傷(脊損)は中枢神経である脊髄を損傷することで四肢、体幹、膀胱の完全または不全麻痺を引き起こす病態である。日本において新規脊損患者数は毎年約5000例、慢性期を含めると総患者数は10~20万例以上と推定されている。損傷した神経は再生しないと言われてきたが、最近、その定説が覆され、動物実験で一定の条件を満たせば、神経が再生することが確認された。本研究では、再生医療を含めた新規脊損治療の有効性を予測するため、世界で初めて、神経ネットワークに基づいて筋肉の機能回復を予測するメカニズムモデルを開発し、歩行を含む生活動作の回復を予測する。挑戦的意義は、統計学の独壇場である臨床研究の分野において、メカニズムモデルの有効性を示し、データとメカニズムを統合する次世代の統合サイエンスの開拓することである。 今年度は、総合せき損センターの臨床データを用いて、脊損患者の機能回復モデルを構築する。受傷時の損傷レベルからどのくらい機能回復するのかを、説明変数ベクトルYを用いて予測した。説明変数は、患者の年齢、各筋肉の運動機能スコアに関する時系列データである。筋肉は僧帽筋、上腕三頭筋、大腿四頭筋、指伸筋のように、解剖学的に分類される。患者の各筋肉の運動機能スコアから、生活動作回復確率ベクトルZを回帰モデルを用いて予測した。総合せき損センターのデータの特徴は、26種類の筋肉の運動機能回復の時系列データや、多種類の生活動作関連スコアをのべ700人以上の患者に対して蓄積していることであり、世界一の質と量をもっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
定性的運動機能の指標を数値に変換する統計学的方法を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
残額に相当する適切な物品がなかったため。
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