本研究では、妊娠初期、中期、後期の各期における睡眠の質を評価するとともに睡眠の様相の変化について実態を明らかにすることを目的とした。 対象者は、20歳以上40歳未満の自然妊娠の初産婦とし、前向き観察研究とした。基本情報は、年齢、妊娠週数、妊娠経過(体重増加、貧血の有無、マイナートラブルの有無)とした。主観的評価にピッツバーグ睡眠質問票日本語版(PSQI-J)を用い、客観的評価は腕時計型睡眠測定器械(アクチグラフ)を用いて測定した。3群の反復測定分散分析で比較検討した。倫理的配慮は研究者所属の倫理審査委員会にて承認を得たのち実施した。 結果は、妊娠3期ともにデータの得られたのは20名であった。年齢は平均30.3(SD)3.6歳であった。PSQI-Jは、妊娠初期平均5.8(SD0.5)、中期5.6(SD0.5)、後期6.3(SD0.5)であったが、3群で差はなかった。一方、アクチグラフの睡眠効率は妊娠初期96.1(SD0.7)%、中期94.7(SD0.7)%、後期93.9(SD0.7)%で、初期と後期の間で有意な差(P=0.02)があった。妊娠後期の睡眠には、マイナートラブルとして背部痛や足のけいれんが関連要因となっていた。 妊娠期の睡眠は後期において不良であった。腹部の増大により下肢の血流不良、背部への負担が睡眠を妨げていることが推測され、今後運動やマッサージなどの対処方法を検討する必要がある。
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