研究課題/領域番号 |
17K20016
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
嶋田 総太郎 明治大学, 理工学部, 専任教授 (70440138)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | オンライン授業 / 脳活動計測 / 学習パス |
研究実績の概要 |
本研究では、オンライン授業視聴中の受講者の脳活動を脳活動特徴空間にマッピングし、その遷移ダイナミクスを「学習パス」として構成することで受講者の学習中の脳内状態を可視化する手法を開発する。近年の情報技術の発展により教育コンテンツのオンライン化(オープンエデュケーション)が進み、世界的にもオンライン授業が広く普及しつつある。日本でも高等教育改革が進められる中で、アクティブラーニングや生涯学習がキーワードとなり、オンライン授業の重要性が高まっている。本研究では、同一の授業内容が再現性を持って提供されるオンライン授業の特性に着目した脳活動データ解析を行うことで、「教育と学習」という認知脳科学の未開拓の重要問題を扱う技術的枠組みを提供する。 H29年度は受講者の脳活動を特徴空間にマッピングするための技術として、学習状態を適切に反映した特徴空間を構築するために、脳波データを被験者間相関(ISC)が最大化されるように主成分分析(PCA)を行う手法を検討した。ISC解析とは、従来の構造化された実験課題からある機能を担う脳領野を同定するのではなく、映画視聴など実験用に特に構造化されていない刺激を呈示したときの脳活動を計測し、被験者間の脳活動相関をベースにモデルフリーで課題に関連のある脳活動を特定する解析手法のことである。本実験では、授業動画を作成し、これを試聴しているときの脳活動計測を近赤外分光法(NIRS)を用いて行った。その結果、前頭前野などいくつかの脳領野で被験者間に共通する脳活動を見出した。今後はこの成分を用いた学習パス生成方法へと応用していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で継続的に用いる動画授業を作成し、研究室内研修システムの雛形を作成することができた。またこれを用いた脳活動計測実験も実施し、順調な成果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
H29年度に行った予備実験の成果を応用して、被験者の学習曲線を可視化するための指標を特定する実験を進めていく。特にNIRSだけでなく脳波を用いた実験を行い、指標となり得る脳活動を特定する。これを用いて、各被験者の学習状態を「学習パス」として可視化するシステムの開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた学会発表への投稿が間に合わず、その分の旅費が残ってしまった。来年度、他の適切な学会へ投稿し、発表を行う。そのための旅費として使用する予定である。
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